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2014年3月11日火曜日

Baronを占う:Orbによるオブジェクト・コントロール

Cloth5.comさまに掲載された、Kyrie氏著の“Scrying Baron: Objective Control with the Orb(Baronを占う:Orbによるオブジェクト・コントロール)”の訳です。


視界コントロールの現状


熟練したチームが序盤のゴールドやマップコントロール面でのアドバンテージを先行し、敵ジャングルにVision Wardを絨毯のように敷きつめ、敵の首を締め上げるかのような勝利を得ることについて、多くの傍聴人たちが嫌悪感を示していたSeason 3 WCSパッチ以来、視界コントロールは遥かに良くなってきている。現在のWardやTrinketのシステムが視界のスノーボール問題を大きく緩和している一方で、チーム単位の観点では、同様の問題が試合中盤(大まかに言って20分以降)の不利として残っている。勝っているチームはBaronの視界コントロールを得るためにWardやTotem、Lensへと投資せねばならない。一方でその敵チームは限られた選択肢しか持ち得ず、周りが見えない状況のままで、Wardを安全に設置できることに望みをかけるしかないことがしばしば生じる。

NA LCS Week 5の対EG戦において、EGがBaron周辺にいるのを知っていたにもかかわらず、CurseはBaronのblind checkを余儀なくされた

これは視界における継続的なデザインの欠陥を示しているのか?という問題は、この記事の範囲をさしあたって越えてしまう。この状況の「責務」は実際に起こることはほとんどない。試合においてゴールドおよびマップコントロールが不足している時、負けているチームが取れる最適戦略を探るのが、この記事の狙いである。この週のLCSのコメンテーターが繰り返し言っていたように、このジレンマの解決手段として大きな可能性を秘めているのがScrying Orbである。このTrinketは長い間無視され続けていたが、視界戦争を打破する鍵となるだろうものなのだ。

競技プレイにおけるTrinketの簡単な説明をしておくと、典型的なチームは最初に5人全員がTotemからスタートし、タワーを折るためにマップを移動したり集合したりし始めるタイミングで、サポート・ジャングラー・場合によってはソロレーナーの1人がLensへとスイッチする。非常に攻撃的なチームであれば、序盤から1~2人がLensからスタートするが、ほとんどの場合はTotemがもたらす余裕のある安全なレーニングが好まれる。標準的な中盤/レイトゲームのTrinket状況は、チーム内のTotem - Lens比が3-2か2-3となる。サポートのWard設置を補うため、必要に応じた視界の獲得、さらに、重要な場所の視界コントロールを確保するためのWard破壊が可能になる構成である。互角な試合でも、Vision Ward(ピンク)およびSweeping Lensを使うことで、最初に到着したチームのほとんどがピンクを守ろうとする限りは、一時的なキャンプを築き、係争地点(典型的なのはドラゴンやBaron)の有利を確保できる。


敗者のジレンマ


比較的接戦だが負けている方のチームが、視界の奪い合いで息苦しくなることは減った、という点については合意してもらえることと思う。だが一方で、一旦勝利を得たチームがBaron獲得を脅かすのであれば、視界コントロールの大きな差を取り戻すのは不可能に近い。マップの特定の領域を4本のピンクで四角に囲んでしまえば、各プレイヤーごとにピンク1本という制限は、視界の独占権に対してまだ十分な影響を及ぼせないのだ。この四角がBaronを含む領域を囲んでしまえば、他の場所でどんな行動を起こそうとも、行き詰まってしまう。チームがBaronを無視し、Baronとinhibitor破壊を交換できるという例外を除けば、境界の外側となるケースも存在する。しかし、一方のチームがBaronに十分な視界を得るほど勝っている時点でinhibitorが攻撃を受けていないという状況は、普通は起こらない。もっと一般的な例外は、globalな移動能力やteleportを持っているチャンピオンがいる場合である。この場合を想定する理由のひとつは、Teleport Mundoがその種のpickとして、特に人気があるからである。しかし、teleportは対象を必要とする方法で、その対象は普通はWardである。Baronの付近にWardがない時は、Baronを妨害することができないという、負けているチームのジレンマに戻ってきてしまう。Baronの周りのWardを完全に除去し、こちら側の視界を設置するには少々時間がかかる。しかし、Wardを除去しているチームが5対5の集団戦で確実に勝てるほど大きなアドバンテージを得ているのならば、自分側のジャングルで敵チームを追い詰めることができるし、常に戦場の霧を維持することもできるのだ。

ひとたびそれが完了してしまえば、負けているチームは古典的な身動きの取れない状況にはめられてしまう。Baronを完全に諦めて試合にsurrenderする他ないか、そのまま罠の中に飛び込む危険を冒すか、だ。多くの状況では、負けているチームにとってベストなシナリオは、単純にタイミングをうかがい、Baronが死ぬ寸前になった時に敵を捕まえ、stealを試みつつBaronの助けを得た6対5の戦闘を始めることである。この戦略は上手く成功すればハイライトシーンとなることもあるが、運頼みとなる点が大きく、試合の流れを取り戻すための手段としては当てにならないものである。

不幸ではあるが、CurseのBaron確認は予想できる結果へと繋がった

Baronにそれなりの価値が十分にあるとすれば、試合の敗北を決めるのもBaronであることが多い。Baronの視界を失ったことに耐えようとして、両チームともに膠着状態に陥ってしまう。


解決手段としてのScrying Orb


ここでScrying Orbが登場する。このTrinketはサモナースペルのClairvoyanceと同様の機能を持ち、長距離からマップの小さな範囲を簡単に見ることができる。視界は茂み1つを十分に照らすことができる大きさで、見えないBaronをチェックしに行くしかないとき、先行偵察として便利に使うことができる。Scrying Orbによって得られる「コストのかからない」移動(基本的な方法では使われない)とそのアップグレードは、妨害しようとする敵が現れれば、計り知れない価値を持ちうるのだ。敵は視界の足掛かりを明け渡さざるをえなくなり、妨害時に一般的にチームが使うであろう位置取りが好ましくない、という面をリカバーする必要があるため、撤退せざるを得ないだろう。Baron獲得の試みの真っ最中を見ることは、大当たりですらある。Baronと戦っている側のチームは普通、回復のために撤退しなければならない。Baronに関する視界のコントロールを完全に失ったり、Baronの最中にall-inされたりする危険性が大きいためだ。

もちろん、OrbをTrinketとして採用するプレイが競技シーンでほとんど見られないという事実から、その有益さよりも由々しき欠点の方が優るのではないかという疑問が浮上する。そう、Scrying Orbにはいくつかの致命的な欠点が潜んでいるのだ。最もわかりやすいのは、非常に長いクールダウンである──Scrying Orbでスタートすれば、1秒間の視界獲得のためだけに150秒ものクールダウンを費やす必要がある。475ゴールドで最終形のFarsight Orbにアップグレードしても、クールダウンは90秒にしか縮まらない。それと比較すると、Lensによるステルス看破も可能な視界や、Totemによる視界は持続時間がもっと長く、Orbは非常に見劣りするように感じられる。LensとTotemが持続的なユーティリティーを提供するのに対し、短い持続時間に小さな視界範囲から、このTrinketは速やかに作用する情報獲得時にしか役に立たない。遠距離から視界を得られる能力が重要でない状況では、LensとTotemが圧倒的な優位を得ているということだ。両チーム全員がBaron周辺の範囲を巡回する視界勝負がプレイされるため、短い距離しか探ることのできないTrinketに所持が限定されていても、チームにとっては十分なのだ。

そうは言っても、Baron周囲の状況が固まっている時には、Orbが最も役に立つtrinketなのは明らかだ。だが、ここでさえ優位を稼ぐのに失敗しかねないこともよくある。視界の範囲がとても小さく、持続時間も短いため、どこに使うかを決める時、Baronに突っ込むのと同じくらい当て推量になってしまうのだ。Baronの巣穴そのものに加えて、敵が潜んでいそうな茂みは2~3箇所存在するし、Orbの使い方を迷っていれば、そのチームは行動の根拠にできる情報が少ない状態のままになってしまう。例として、罠が設置されている空のBaronの巣穴を映し出すが、どこに罠があるかはわからず、地雷源たる茂みの中はわからないままだ。同様に、何もない茂みを映し出すことは、敵チームがBaronをやっているか、罠が他の場所にあるか、ということを示唆する──チームが動くための情報としては多いものではない。


曖昧な水晶球


以上の欠点全てから、どんなプロのプレイでも、Orbが購入されることは一層の驚きをもたらす。EU LCSのWeek 5におけるFroggen選手の行動は、それをますます激しくさせるものだった。Roccat対Allianceの試合の24分時点で、彼はGreater Orb(クールダウン150秒)にtrinketを交換し、それで何かを行うことは全くできなかった。Baronに対して一度は使われたものの、長引いた集団戦はRoccatの勝利となり、AllianceはBaronを争うことすらできなかったのだ。

Froggen選手は敵チームが行っている最中のBaronをScryしたが、何もできなかった

Orbは2回以上使用された。1回はAllianceのタワーに対してRoccatがプッシュを行うために移動している時、その追跡のために。1回は集団戦の最中に、視界を即座に得るために。だが、どちらの状況でも、役に立つ情報が得られることはなかった。タワーを折るための移動に反撃し、側面を守るチャンピオンや集団戦から離脱した者を追跡することのできる可能性をOrbが持っている場合であっても、範囲が限定されているため、毎回の使用はギャンブルになってしまう。タワーを折るための移動や集団戦が行われるだろう場所に対し、単に長時間持続する視界を準備しておくことが、ゲームをプレイする上では遥かに信頼できる手段なのだ。

さて、検討した全てのケースにおいて、OrbはTotemとLensの両方と比べて完全に劣っているか、実際には役に立たない不確かな手段だった。Trinketを交換する時に生じるクールダウンもまた、今まさに致命的な場所の視界が失われた時に、緊急的な一時しのぎとして使う、という想定を抹消してしまっている。Orbを使用できる準備をするために、TotemとLensの堅実な便利さを放棄することも求められるのだ──Orbが実際にチームにもたらすのはTrinketの価値の損失だと考えられる。後々に試合を巻き返す可能性を上げるためにOrbを入手することで、その時自らを不利な状況に置くことになってしまう。この行為はむしろ、問題解決を放棄しているように思われる。


最終的な考察と、他の可能性を秘めた構成


このような構成を試みるだけの勇気のある、あるいは愚かなチームはまだ存在しないが、多くのOrbを同時に持つほど、その強みが大きくなることは認めねばならないだろう。一定の範囲でもっと多くの場所をカバーできる、複数のScryがあれば、このTrinketをを切らさずに多くの索敵を行うことができるだろう。チームにとっては、150/90秒ごとにマップの四方を囲むWardに匹敵するレベルの情報を得ることができるので、とても良いチャンスが生じうる。その反面、最初の場所でWardを使うだけでもよかっただろう。多かれ少なかれ、それぞれのチームがそれぞれの試合で選択するものであるのは確かなことだ。標準的なTrinket構成を実行しているチームが、Orbが3人、Lensが2人という構成に加えてWardにゴールドを費やすのであれば、同じレベルの視界コントロールを維持するのは可能だろう。しかし、Wardにゴールドを費やす理由は特にないし、1試合中にかかるward代は、合計で何千ゴールドにも達するだろう。

要するに、Orbは興味深いものではあるが、長期的な視点では標準的なTotem/Lens構成の代用たりえない。ClairvoyanceとしてOrbを優先的に使うサモナーの気を引くものである限りは、Orbはそのまま残される可能性が高いのだ。これは吉報とは全くもって言いがたいが、中盤以降に確保した視界が少ない状況から奮起しようとするチームにとって、そもそもひどい後れを取ることにならないために、最高のアドバイスである。試合がどんなに言い訳のできない状況であっても、可能性が消えてしまいそうなほど小さくなろうとも、逆転できるポイントは常に存在しているだろう。そう、Baronの視界を争うことのできない瞬間が、そのようなポイントとなるのだ。


原文
Cloth5 | Scrying Baron: Objective Control with the Orb by Kyrie

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