今、北米のLCSにひとつルールがあるとしたら、それはZionSpartan選手にJaxをpickさせないというルールだ。Week 5にてZion選手の操るGrandmaster at Arms(訳注:Jaxのふたつ名)がRiftへと躍り込んで以来、この若いCoastのtop lanerからいかにしてJaxを遠ざけるかというゲームが始まったのだ。だがそれでも、Jaxのプレイに興味を持つ者は誰もいないようである。では、Zion選手のプレイを恐ろしいものたらしめているのは、何なのだろうか? それを探るため、Zion選手その人と話してみることにした。
スノーボール ファイト
現在のtop laneメタの中心は強大なタンク、もしくはそのタンクを粉砕することだ。Rivenのような華々しいプレイのチャンピオンは、昨シーズンに比べると流行っていない。
だがそこに、ZionSpartan選手のJaxが現れた。2014シーズンのNA LCSで最初にJaxが登場したのは、TrundleをプレイしていたXDGのBenny選手と相対した時だった。それはゆっくりと始まり、Benny選手のファーム量に全く及んでおらず、最初の20分間は2キル1デスというだけだった。
だがその後、ZionSpartan選手はいくつかのアイテムを入手し始めた。Trinity Force。Blade of the Ruined King。Randuin's Omen。突如として、街灯による目にも止まらぬスピードの攻撃が繰り出され、大量のダメージを叩き出していった。ADとAPに基づいた増加ARとMRを得られるultimateのおかげで、Jaxは殺そうとしても死なないようになってきたのだ。試合が終わってみれば、Zion選手のKDAは13/3/2と並外れたものとなり、Jaxを優位に立たせてしまった時に起こることを見せつけたのだった。
ZionSpartan選手が言うには、リードを取る能力があることと振り返らないことが、Jaxをとても強くしているという。「タンクに対して一点でもアドバンテージを取れたのなら、Jaxはとても激しくスノーボールします」と彼は語る。だがもしJaxが大きなビハインドを背負ってしまうと、困った状況に陥ってしまう。「現在、タンクをプレイすることは、pickとしてとても安全な選択肢です。Jaxには大きなリスクがありますが、リターンも大きいです」
この大きなリターンこそ、他チームがZionSpartan選手に与えたくないものだ。Week 5でのCoastの2試合目、対EG戦の後には特にそう思っただろう。彼はレイトゲームでの大きなパフォーマンスを全く手放すことなく、スコアこそ5/4/1に過ぎなかったが、ZionSpartan選手こそがCoastの勝利の鍵となったのだ。ひとたび十分なファームを得た彼をEGは試合のは残りの時間中ずっと恐れる羽目になってしまい、スプリットプッシュによるobjectiveの確保を許してしまったのだ。
Zion選手がJaxを取ることのできた試合では常にJaxが猛威を振るうため、Coastの試合ではこのチャンピオンが継続的にbanされている。面白いことに、彼はGrandmasterを継続的にプレイされなければならないものとは思っておらず、ましてや100%常にbanされるものとも思っていない。「Jaxは他のキャリーほどリスクがあるわけではありません。大きなダメージを与えることができる一方で、タンキーになることもできます」と彼は言う。しかしながら、「他のチャンピオンを選ぶ状況もいくつかあります」とも話す。
では今は?
なら、最も秀でているチャンピオンが基本的にbanされてしまったら、ZionSpartan選手はどうするのだろうか? 何のために、他にプレイするチャンピオンを見つけるのか、当然のことだ。Week 5までで、彼は3体のチャンピオンをプレイしている。Shyvanaが4回、Lee Sinが2回、Renektonが1回だ。
これら最近の試合で最も成功したのは、Lee Sinで9/1/6というスコアを記録した試合だ。このBlind Monk(訳注:Lee Sinのふたつ名)のプレイと、彼がJaxをプレイした試合を比べると、強力なgankおよび狂ったようなスプリットプッシュ能力を両立した、機動力の高いbruiserをZion選手は好んでいる、というのが明らかになる。
そして、それが可能になった時、Team Coastは試合に勝利する。Zion選手の能力値を見ると、彼がチームをキャリーする存在であるとは必ずしも考えられないだろう。だが、彼は必要な時にレーンを確実にプッシュし、チームのobjective獲得を確実なものとするのだ。
彼の独特なプレイスタイルは、スーパータンク・メタを打破するものになるのだろうか? おそらくはそうなるだろう。だがZionSpartan選手自身は、少し不安げに語る。「タンク以外のpickをプレイすることは常に可能です。それにはもっとたくさんの練習が必要ですし、状況に左右される度合いが一層高い、というだけです」
未来、そしてAatrox
ZionSpartan選手と話している間、あるひとつの点が思い浮かんだ。Banによって彼がJaxをプレイできない試合で、彼がプレイしたいチャンピオンについて……なぜAatroxをプレイしないのだろうか、についてだ。JaxとAatrox、この2体のチャンピオンは極めてよく似ている。両方とも強力なgap close能力を持つbruiserで、与ダメージを高くすることで、見かけによらないタンキーさを得ることができる──Aatroxはlifestealによって、Jaxはultimate使用時の防御能力値上昇によって。
尋ねてみたところ、Zion選手は生意気にもこう返した。「Aatroxはとてもいいですね」と。彼がDarkin Blade(訳注:Aatroxのふたつ名)でtop laneを切り開き、試合の行く末を握る週は、おそらく近い。
原文
Hop, Skip, and Beat: ZionSpartan’s Jax | LoL Esports
0 件のコメント:
コメントを投稿