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2015年3月1日日曜日

プレイヤーの意に沿わないLoLのプレイ配信について、Tryndamere氏が公式声明を発表


SKT T1のFaker選手の全Ranked Gameをクライアント上で観戦したものを配信していたサービス「SpectateFaker」およびプレイヤーの意志に沿わないプレイ配信について、Riot Games創立者のTryndamere氏が公式声明を発表しました。

以下は声明の全文訳となります。


SpectateFaker - what we learned and what we’ll do | League of Legends

私たちは先の1週間に渡り、SpectateFakerの配信ケースによって浮上した、プレイヤーが作り出しオンラインで共有するゲームプレイ・コンテンツ全体に存在する、いくつかの複雑で多層化された問題について取り組んでいました。「サードパーティーの配信に対して自分たちのプレイする全試合の配信を承諾しない個人プレイヤーたちは、保護されるのか?」ということを見極めたいプレイヤーたちの、ゲームプレイ映像の権利のバランスを取る最良の方法について、多くの知識、私たちの側にある一部の不明瞭なコミュニケーション、それに多くの議論が、Riot内外に存在しています。

要約を述べましょう。Ranked Gameを観戦する(spectate)というゲーム内経験は、LoLのゲームプレイ経験における重要な部分だと私たちは信じており、それを不自由にしても利益はないと考えています。それが問題になるのは、あるプレイヤー(プロ選手など)を観戦するSpectator modeが、彼らの意図に反して継続的に配信され、それが有害な方法で行われる場合です。SpectateFakerのケースを見て、私たちは2つの大きな問題を見出しました。1) AzubuのDMCA(デジタルミレニアム著作権法)は私たちと同様の法的地位を有しておらず、Azubuではなく私たちがゲームプレイのコンテンツを所有しているということ。2) Faker選手が信じている(私たちも同意します)のは「この配信は彼と彼のブランドを害している」ということ。私たちはFaker選手の要請を尊重し、当該の配信を止めさせるつもりです。

個人的には、この問題全体のコミュニケーションを私がもっと上手く処理すべきだというのは、明白でしょう。私が主張したい結論は、自身の意志に反して配信されている特別なプレイヤー個人(Faker選手)を守ることです。私は、弱者が虐げられることについてはとても神経を使っています。これに関する議論は私にとって冷静な教訓であり、自分自身が虐げられているかのように感じることもありました。

このケースは、Faker選手個人の範疇を越える多くの問題を浮かび上がらせました──プロ選手たちという枠すら超えているかもしれません。私たちはその責任の重さを感じています。この問題について実際に討論を行い、対応を公表する前に前提を二重チェックする時間を取ったのは、そのためです。

この問題に対して私たちがどのようなアプローチを取ったのか、最初の段階で私たちは何を間違えたのか、今後私たちはどのようなアプローチを取るのか。これらについて、私たちの核となる哲学について少しお話させていただきたいと思います。

何が起こったのか?


このように変動しやすい要素と選手たちが複雑に絡み合ったケースでは、問題を要約することは簡単ではありません──が、以下に起こったことの説明をまずいたしましょう。

先週の初め頃、配信プラットフォームであるAzubuが、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく停止請求を、「SpectateFaker」という名の配信に対して行いました。この配信は、SK Telecom T1の選手であるLee “Faker” Sang-hyeok選手のソロキューの試合を自動的に検知し、LoLに備わっている観戦モードを使ってTwitchで配信するというものでした。

SK Telecomのチームメイトを含む一部の韓国人eSportsプロ選手たちは、2014年9月にAzubuと契約を結び、Azubu以外のプラットフォームで配信をしないことになっています──Twitchで行われているFaker選手の試合配信はこれを侵害するものであると、Azubuは判断しました。ですが、SpectateFakerの配信者であるStarLordLucian氏が指摘するように、LoLの利用条件(terms of use)によると、プレイヤーはゲーム内で彼らが作ったゲームプレイコンテンツの所有権を譲り渡すとあります。法的には、AzubuはFaker選手が創りだした配信コンテンツを所有していないのです。多くの人が指摘したように──そして私たちがAzubuに直接フィードバックを行ったように──彼らが行ったDMCAに基づく請求は、正式な所有権の法的宣言に基づいたものではありませんでした。

その週の前半、SKTとKeSPAはRiotに対し「Faker選手はこのような方法で彼のコンテンツを配信されることを望んでおらず、配信を止めさせるよう行動して欲しい」との報告を提出しました。SKT自身もFacebookで公式声明を発表し、その中でFaker選手が同意のない名前の使用およびプレイ配信を不快に感じており、そのような配信は、彼の配信提供の価値と安定性を揺るがすものであると述べています。

私たちのアプローチはどのようなものか?


私たちの核となる哲学と、今後私たちがこの複雑な問題に対して立てている計画について、もう少し掘り下げていきましょう。

このような問題については、私たちを導く哲学は、プレイヤーの権利を守ることです。このケースでは、単純なことではありません。対立するプレイヤーの権利が2種類存在しているのは明らかです。ある個人プレイヤー(このケースではFaker選手)の権利には、SpectateFakerを経由して彼のプレイを楽しむ、数千人のプレイヤーの権利が付随しているのです。このケースを考えた時、私たちはこれら2つの権利を比較し、考えたことに関して、2つのグループに関係する最も有害な──もしくは最も恩恵をもたらす──バランスの取れた決定をしなければなりませんでした。

SpectateFakerの配信でStarLordLucian氏が行ったのは、数千人のプレイヤーたちに、慣れ親しんだツールを使い、好きなプラットフォームでFaker選手のソロキューを見ることを可能にしたということでした。これは独特で際どいケースに分類されますが、APIの画期的な使用法であり、世界中のファンに向けてeSportsコンテンツを供給するというポジティブな意図の元に、この配信が生まれたのだと信じてやみません。騒ぎが起こっていた時、Redditで煽るようなことを言ってしまい、私は後悔しています。

私の警鐘はFaker選手とSKTによる、これが彼のキャリアとブランドにとって有害だという視点、そして配信を止める手助けをして欲しいという依頼から成されたものでした。この問題を考察してみて、私たちはそれが有害に見える理由を理解しました。このような配信契約は、韓国におけるeSportsでは安定した財政系の基礎を形作る重要なものです。Faker選手の各試合を観戦モードを使ってライバルのプラットフォームでシステム的に(散発的に時々ではなく)配信することは、彼のAzubuとの提携の価値を減らしてしまうことは理解できますし、もっと重要なのは、将来的な配信契約による金銭的利益獲得の可能性を、プロ選手たちから奪ってしまうかもしれないということです。非常に現実的かつ具体的な意見として、SpectateFakerの配信がFaker選手に害を及ぼすというのは彼の判断によるものです──そして私たちは、彼にそれを止めさせる権利があると思います。

これはプロ選手たちにのみ適用される判例ではありません──金銭的なものにも、ブランドの損失にも適用されません。あるBronzeのプレイヤーが、彼と彼のプレイを楽しむ人々に対し全てのRanked Gameを望まずに配信で晒される標的となったとしましょう──彼の意に反して全試合を、です。「害」はいくつかの形で考えられます──感情的、具体的、などなどです。皆さんのゲームプレイが、皆さんを害したり苦痛を与えたりする方法でシステム的に配信される可能性があるということは、Ranked Gameのプレイを我慢させるものになってはいけない、私たちはそう考えました。もしくは、女性プレイヤーを標的とした配信を想像してみてください……彼女の動き全てに嫌がらせやコメントを行うナレーターや、自動システムが存在する配信を。Riotは常に真剣に、スポーツマンらしくポジティブなコミュニティを育成する責任を有しており、この判例に繋がった状況も、同じ視点で見ています。

同じような損害を与えない、観戦モードを利用したこの種の配信例もあります。その内ひとつを挙げると、SaltyTeemoは低eloのプレイヤーを対象とすることが多く、彼らのプレイを観戦モードから配信していますが、そこから感じられる意図は全く違うものです。この配信はユーザー名を除去し、対象プレイヤー個人を特定しすぎないようにしています。これは特定プレイヤーに対する意図的な嫌がらせではなく、人々を楽しませ、個人に対しては悪意のない、ゲームプレイの編集物なのです。

私たちは、プレイヤー個人に害を及ぼしていることに気づいた場合、配信を止めさせるための介在者となります。これは配信停止を求めるプレイヤー個人からの働きかけになることがほとんどでしょう(常にそうなるとは限りませんが)。なので、配信者がこういった種の要請を私たちに行いやすくなるようにし、ケース・バイ・ケースでそれらを見ていくつもりでもあります。SpectateFakerのケースは発端になり──そしてこのポリシーが適用される最初のケースにもなりますが──これは彼のケースのみを対象とするものではなく、いかなるプロ選手であろうとも、プロでないプレイヤーであろうとも、例外なく適用されます。自分の試合が嫌がらせをするために観戦モードで配信されていると思うのであれば、Riotのプレイヤーサポートでチケットを発行してください。

これは、このような問題に根本から取り組むことに役立つ、技術的/APIの修正を将来的に行わない、というわけではありません。観戦モードは現在進行形でプレイを見るためだけのものではなく、同意なく自動的に全ての試合を配信する他者の標的になったり、害を及ぼされたりしたと感じるプレイヤーの懸念に対して注意しなければならないものでもあります。ゲームに存在するRanked Gameの観戦経験は、他のプレイヤー──プロなど──を見ることを楽しみ、そこから学ぼうという人々のための、重要なLoLの経験の一部です。積極的な抗議がプレイヤーからなされた時、そして私たちが彼らを守る仲介者となる時──プレイの配信は問題となります。実際のプレイと観戦の間にもっと長い遅延時間を設けるといった、APIへの技術的調整もありえますが、プレイヤーおよび配信者のためにより良い選択を行えるよう、私たちができることを見極めていきます。

SpectateFakerの配信ケースに関しては、実際にプレイヤーを害する可能性が極めて高いと強く思っています──よって、Faker選手の要請を尊重し、配信停止を求めていくつもりです。

この問題に関するコミュニケーションから私たちが学んだことは何か?


複雑かつグレイゾーンに位置する法的問題を調べることは、プレイヤーが必要とする対応を行うプロセスを改善することなので、Riotにとって当然のこととなりました。残念ながら、新しい分野に取り組む時、私たちは自分たちの未熟さをさらけ出してしまうことがありますし、この状況からは学ぶことがたくさんありました。

TwitterとRedditで行われていた議論に私が飛び込んだ時、私が最初に心配していたのは、プレイヤー経験を守ることについての私たちの立場を明確にすることでした。私の直感は全力で回転し、残酷な扱いを受けているプレイヤーの保護について考えていたことへとすぐに飛んでいきました。私は状況についての懸念を説明する努力を行いましたが、残念なことに、物事を明確にする努力に差し障る、いくつかの間違いを犯してしまいました。

  1. 私はStarLordLucian氏の行動に反対しますが、その行動は良かれと思う意図から生まれたものです。それが個人的かつ敵対的なものになり、彼がFaker選手の「eストーキング」の罪で告発されたことにより、私のコメントは彼の(TwitchでFaker選手を見せるという)元々の意図をきちんと反映したものではなくなってしまいました。
  2. 私は十分に状況を知らなかったのに、コメントを急ぎ過ぎてしまいました。私はStarLordLucian氏が配信を直接「再配信」していたと思い込んでおり、それがそもそもの間違いでした。実際には、彼は自動化したやり方で観戦した試合を配信していたのです。このように基本的な事実を間違えていたため、私が届けたいと思っていたメッセージはぼやけてしまいました──私たちの第一の目標は、意に反してシステム的に配信されることにより、害を受けていると感じているプレイヤーたちを守ることなのです。
  3. プレイヤーの皆さんはSpectateFakerのケース単体に限ったものではなく、このような問題についての総合的なコメントと、法に基づく停止請求(このような)を求めていました。このケースに対してのみ焦点を当てることで、問題になっていたことよりももっと大きな、明確にしたい問題を、私はわかりにくくしてしまっていました。

この種の問題に関わるスレッド群を解きほぐすことは、私たち全員にとっての学習経験となっています──そしてそれは、Riot内外でまだ進行中の事案です。私たちの決定は、大いに議論の火花の種となることでしょう。このような場合には、新しく現れた場所で何かが判例を作る力を持った時、議論は健全であるだけでなく、必要なものであると私たちは考えています。

私は皆さんからのフィードバックを聞くのが好きですし、議論に参加した皆さん全員にお礼を言いたいと思います。正直に言うと、刺されて痛く思うコメントがまだたくさんあります──でも私たちはこの経験から学び、今後も改善していくつもりです。

- Marc Merrill

訂正:私たちは元々の投稿で、直接配信を「再配信」と間違えて表記していました──間違いは修正いたしました。

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