Lolesportsに掲載された“Pros talk the new jungle”の訳です。
Riftでのプレイをがらりと変えてしまった、Preseasonのオーバーホールの一部として、新しいジャングルが私たちの手元に届いてから数週間が経過した。全く違うビルドをもたらすアイテムたち、あふれんばかりの新しいバフ、そしてプロの手でジャングルへと送り出される新しいチャンピオンたち。Lolesportsでは何人かの専門家に話を聞いてみることにした。IEM San Joseの覇者・William “Meteos” Hartman選手、TSMの新しいジャングラー・Lucas “Santorin” Larsen選手、Allianceの「帰ってきた」ジャングラー・Ilyas “Shook” Hartsema選手。この3人に、完全新規ジャングルについて、あらゆることを聞いてみた。
思っていたよりもつらい
3人全員がすぐに指摘したのは、新しいジャングルでは以前よりも各モンスターが強くなったため、ファームがいかに難しくなったかという点だ。昨シーズンとの比較をSantorin選手は「以前のジャングルはとても簡単だったので、Lv3になったらgankするのが楽にできたため、Lee SinとKha'Zixはとてもいいチャンピオンでした。でも今は、ジャングルでヘルスを保つのが難しくなったので、Lv3よりも前にリコールしなければいけません」と説明する。Shook選手もそれに同意し、付け加える。「現在のジャングルでは、サステインか、ダメージをブロックできるスキルが必要です」。
このことは新しいジャングラー論争を巻き起した。最も顕著なのはWarwickについてだ。彼のサステイン、それに新しいジャングルアイテムとのシナジーは、見向きもされなかった状況から、Patch 4.20のpick/ban確実という地位にまで彼を押し上げた。Shook選手は特に、IEMではWarwickの強さがひどすぎたと感じている。彼は「あるひとつのアイテムのせいだけで、どんなにtankyにビルドを仕上げても、とんでもないダメージが出るんです」と言う。しかしMeteos選手はそれに賛成しない。Warwickにはレーナーに対して序盤にプレッシャーをかける選択肢が欠けており、結果としてレーナーは積極的なプレイが自由にできるのだという。それでも4.21では大きな与ダメージの弱体化が行われる、と彼は見ている。再調整を受けるBlood Hunterだが、IEMで恐れられたままなのではないだろうか。
しかしながら、Warwickだけが時代の寵児となったサステイン偏重ジャングラーではない。他にtop tierのピックはないかと尋ねると、Meteos選手とSantorin選手の両名が、敵を無力化していくカウンタージャングルのポテンシャルからNunuの名を挙げた。Meteos選手はまた、Pantheonも「top tierのチャンピオンではあります」と指摘するが、4.21でのZacの帰還もほのめかしている。
加えて、Shook選手はViをプレイしたがっているが、ファームの難易度が上がったことで不可能なのではないかと感じている一方で、Meteos選手はそう確信しているわけではない。Viを「Warwickの上位バージョン」と呼びつつも、レーンにプレッシャーを与えるという選択肢とリコール前の彼女のファーム能力が結びつき、クールダウンが長いultの欠点を補っている、と彼は指摘する。今のところ、LCSが再スタートする時が来るまでは、トップの座に就くチャンピオンが確定するには少し時間がかかるようである。
そしてもちろん、トーナメントで最も記憶に残った試合、Unicorns of LoveがTSMに対して勝利を収めた時にプレイされたjungle Twisted Fateについて、話し合わずにはいられない。彼らの根性は大したものだが、Santorin選手もMeteos選手もその戦略をコピーするつもりはない。両名とも、チーム構成に依存するサプライズ・ピックだと口を揃える。Lolesports内に詳細な解析記事が掲載されているが、端的に言うと、昇格戦を落とす前に2回は考えた方がいい。
良いものは分け合う
新ジャングルでは、古い戦術が戻ってきている。Bottom laneは早くLv2に到達するためにKrugかGrompを狩るが、これは赤側のジャングラーにとって悩みの種だ。Meteos選手はほとんどの場合で理想的なスタートだと言及する、Grompを取ることができなければ、ジャングラーの取るルートは限定され、予想されやすくなる。さらに悪いことに、Santorin選手が言うには、ジャングラーの移動はすぐに伝わってしまうという。「Bot laneがGrompから始めているなら、その2人はダメージを受けるのですぐにわかりますし、彼らが遅れて来てダメージを受けていないようなら、ジャングラーがバフを取ったということになります」。このやり方は、bottom laneに厳しい代償を払わせるスタートを強いるものの、必要な犠牲なのだろう。
対照的に、Shook選手はこれを問題とは捉えていない。「確かにジャングラーの開始地点は予測可能になるでしょうが、ジャングル内でのルートは変えることができます。片側からスタートするのなら、キャンプを変えるだけで、敵が予想しているルートとは違った道筋を通ることができますよ」彼は説明する。そのルート計画については、gankしたいレーンに出られるように始めるだけだと言う。どのみち、この戦術が消える兆候は当分ないように見える。Preseasonの進捗に適応を続けるチームたちの動きを期待できるだろう。
多様性を広げる
Preseasonで多用されている言葉は「戦略的多様性」だ。これらの新しいバフと選択肢全ての導入において、デザインチームがプレイヤーに望むのは、今までよりももっとたくさんの戦略の可能性を見出してほしいということだ。残念ながら、この面についてShook選手が抱くものは、確信とは程遠い。「現在変わったものはたったひとつ、RaptorのSmite buffを得るためにSmiteを使うのは絶対だ、ということだけです……あとはWarwickが実用レベルになったくらいで」と彼は嘆く。
Meteos選手はもっと楽観的だが、完全に満足しているわけではない。Lee SinやJarvan IVといった、Lv3でのgankが効果的に行えるジャングラーに比べ、前述のジャングラーたちは試合序盤で弱く、プレッシャーを与える手段なしに競い合うことはできない、と彼は感じている。それでも、試合序盤のプレッシャーはゲームの大事な要素であるとも彼は主張する。「試合序盤に何かできるようになる選択肢が好きです。Warwickのように毎試合Lv6までファームしなければならないのなら、とても退屈になってしまうと思います」。それよりも、Meteos選手が望み続けるのは、試合序盤に弱いジャングラーも競技シーンでプレイできる方法が見つかり、そのような序盤のプレッシャーを与えられるようになることだ。
Patch 4.21は、Preseasonで最初の大きなアップデートとなる。Ranger's TrailblazerおよびWarwickへの大きな弱体化とともに、SejuaniとZacには大きな強化が行われ、他にも様々な面白い変更があり、2015年が目指す「戦略的多様性」へとゲームは近づいていくことになるだろう。新シーズンの開始はまだまだ先だが、この路線に沿った調整がもっともっと行われるのは確実だ。それまでは、目まぐるしく移り変わる新しいメタが見られることだろう。変化は良いものだ。何と言っても、Preseasonのような時には。