北米チーム、「Counter Logic Gaming」がScarra氏の採用にあたり、不正な勧誘を行ったとして、罰金1万ドルとScarra氏のLCS Spring Split 2015への3週間立ち入り禁止処分が発表されました。
Competitive Ruling: 「Counter Logic Gaming」 | LoL Esports
組織名: 「Counter Logic Gaming」
地域: 北米
裁定日: 2014年12月8日
項目: 罰則; LCS規則違反
背景
「Dignitas」の控えの選手として契約していた William “Scarra” Li氏が「Dignitas」と契約更新せず、CLGへと加入した際の「Counter Logic Gaming」(以下、CLG)のマネージメント部門の勧誘について、LCSの不正な交渉および引き抜きを禁止する条項に違反したという疑惑の申し立てがあった。
他のLCSの組織と契約中の選手を雇用しようとすることは重大な違反であり、私たちは申し立ての是非を確認すべく厳重に調査を行った。
調査の結果は以下の通りである。
9月上旬のLCS 2014 NA Regionals終了からまもなく、CLGのオーナー、George “HotshotGG” Georgallidis氏はLi氏と直接接触し、雇用を希望する旨を伝えた。
数週間後、1人以上のCLGのチームのメンバーがマネージメントからScarra氏がCLGのコーチになることに興味を示しているとの情報を知らされた。
チームのメンバーはCLGのマネージメントに対して、Li氏に接触し、来シーズンのチームのコーチとなる可能性について話をすることを伝えた
このメンバーはLi氏と「Dignitas」と再契約せず、CLGのコーチとなることへの可能性について話し合いを行っており、LCSの不正な交渉および引き抜きを禁止する規則に明らかに違反している。
10月中旬、LCS当局はCLGがLi氏に対して不正な交渉を行っているという疑惑に気づき、直ちにCLGのマネージメントと接触し、事情を聞いた。
Georgallidis氏は調査の中でLi氏の契約期間中にCLGのコーチとなることについて彼とLi氏およびチームのメンバーが会話したという認識を否定し、LCS当局に対して繰り返し虚偽の証言を行った。
複数のソースがLi氏が「Dignitas」との契約を終える前にGeorgallidis氏が個人的にScarra氏に接触し、CLGのチームのメンバーの1人がLi氏とCLGのコーチとなることへの可能性について話をしたと証言した。
関連規則
10.2.12 不正な交渉および引き抜きの禁止
“チームのメンバーおよび関係者はLCSのチームのメンバーに対して勧誘、誘惑、雇用の申し出および契約の破棄や破断を持ちかけるような行為をしてはならない。”
裁定
CLGはLCSは規則 10.2.12に違反しており、罰則を与えるものとする。
競技上の罰則
Counter-Logic Gamingに以下の罰則を科す。
- 罰金: $10,000
- 2015 LCS Spring Splitの最初の3週間において、William “Scarra” Li氏がLCSの公式チームメンバーとしての立ち入ることを禁じる。
- CLGは2015 LCS Spring Splitの最初の3週間のヘッドコーチの候補者が必要となる。
背景
今回の件はこれまでLCSのチームに科した最も重い罰則となる。
以下は今回の決定に至った理由と経緯である。
私たちはLeagueの競技シーンにおける引き抜きを重大な違反と考えており、そのため厳しい罰則となった。
LCSのチームは契約を交わした選手たちだけでなく、他の組織と契約したプレイヤーたちについても敬意を表すことが期待される。
相手チームのプレイヤーとの不正な交渉は非常に有害な原理として働き(例: 故意に下手なプレイを行うことにより、組織に彼らを放出するよう"仕向ける")、また、ゲーマーズマンシップとして受け入れられない。
また、不正な交渉や引き抜きを行わないとした規則を順守するまっとうなチームがプレイヤーを獲得する際に不利益となるものである。
いずれのLCS規則に違反に対する罰則を評価に当たって考慮した要因は数多く存在する。
目的と公正さは規則を破る個人やグループにも重要だ - もし、違反者が不誠実であったとしたら、厳しい裁定が下ることとなる。
私たちは調査の最中も見ている - 例えば、私たちの判断は規則を理解し、潜在的な結果をよく理解しているであろう、LCSの組織のオーナー権限を持つ人物に対してより厳格となる。
今回のケースではCLGのオーナーはLCS当局に虚偽の証言を行い、LCSのライバル組織と契約中のプレイヤーを直接引き抜こうとしたことは罰則を決定する上で重く捉えられた。
今回のケースではひとりのプレイヤーではなく、LCSの組織全体のオーナー引き抜きに関与しており、罰金単体では効果的な罰則とはならなかった
私たちは罰則によって将来的に類似するケースを避けたいと考え、また個人への罰金は組織単位でプレイヤーの引き抜きを行う場合の抑止にはならなかった。
3週間に渡って、LCSへのLi氏の立ち入りを制限したことはCLGが不正による買収に対して罰金を増額するよりも効果的な罰則だ。
LCSの規則ではプレイヤーの所属する組織から許可を取得すれば交渉を行っても良いことになっている。
今回のケースではCLGがLi氏との交渉に先立って「Dignitas」から許可を得ていれば、問題とはならなかった。
また、プレイヤーを雇用するためには契約が切れるまで待てばよかった(Li氏の契約は10月末に切れることになっていた)。
CLGはどちらも選択しなかったため、今回の調査と結果へと繋がった。
今回の調査での決定は当事者と密接な関係のある匿名性を要求される情報源から提供されている証拠と証言に大きく依存していた。
一般的に競技における判決は透明性の確保に努めているが、公になってしまった場合に潜在的な報復のリスクがあるにもかかわらず、LCS当局に証拠を提示した情報源については高く評価し、保護する。
今回の説明が裁定に繋がった全ての証拠を公開するほどの満足を得られないことは理解しているが、私たちに進み出て話をしてくれた情報源の匿名性へのリスクを及ぼすことになる。
今回の裁定は意図的にLCS当局に対して虚偽の証言も含め、LCSにおける引き抜きは容認できないという願望を明確な意志表示として反映するものである。