MSIの実況解説者であるJatt氏が、MSIの実況解説について「先入観ありきの偏向解説」と批判されている件について、Redditにコメントを書き込んでいます。
JattがHopefully the FNC vs SKT series will shut people up who consider MonteCristo's commentary "biased"について記入したコメント
オーケーみんな、この「Jattは偏見持ち」というのが無意味だ、というのは十分にわかったでしょうし、そろそろ私自身から何か言ってもいい頃合いだと思います。長い投稿になると思うけど構わないよね。
まず、ストーリーについて話さなくちゃいけません。ストーリーというのは、解析が供給されるレンズです。まずはTSMのストーリーについて始めましょう。
MSIに参加する前、TSMというチームは、北米地域のトップチームでした。彼らは通常シーズンを1位で終え、プレーオフでも準決勝、決勝と3勝1敗で圧倒的な戦績を収めました。さらに、韓国、ヨーロッパ、台湾、北米からチームが参加したIEM Katowiceでも優勝して(当時)ナンバーワンのチームとなりました。そのイベントでは、たった1試合しか負けませんでした。IEMがとても短いトーナメントだったということも十分にわかっています。MSI参加地域と同じ地域からとはいえ、全く違うチームが相手だったというのも、注意すべきでしょう。
トーナメントでのTSMのプレイスタイルを見てみると、レーンスワップ偏重といえるでしょう。Dyrusを匿い、SantorinとTurtleにファームの機会を与え、Lustboyの素晴らしい視界コントロール能力およびマップ全体のgank能力を活用するために、レーンスワップを行うというのが彼らの通常のスタイルです。TSMはレーンスワップを通して確実にゴールド差の優位を育て、強力なmid laneの優位と、視界支配を中心に据えた集団戦で勝利します。
客観的に見ると、TSMについてはこういった点が浮かび上がります。また私は、TSMのサポートスタッフにも注目したいと思います。Locoは加入以来着実にチームの結果を改善していて、TSMは現地に2人のアナリストを派遣しており、北米で素晴らしい成功を収め続けているLustboyという韓国人サポート選手を加入させています。またTSMは、優れたメカニクスから国際的な名声の高いmid lanerも抱えています。
実況チーム全体の意見として、このトーナメント前にはTSMは「有望」と見られていた(3位前後という予測)、ということも付け加えておきます。
さて、MSI前のFNCというチームについて、私のストーリーを話しましょう。FNCもまた、EU LCSという一地域の覇者です。ヨーロッパ地域は全体的に、国際舞台ではとても悪いパフォーマンスを見せてしまうことがありました。2014年のWorld Championship、IEM Katowiceの両方において、ヨーロッパのチームはグループステージを勝ち抜くことができませんでした。
私は毎週、LCKとLPLと共にEU LCSを見ていたので、EU LCSの今splitで見られたFnaticのプレイスタイルとストーリーをとても熟知しています。MSI参加前、Fnaticは自身のLeague of Legendsのスタイルを使ったプレイで極めて良い結果を出し続けていました。高いプレッシャー、高速な集団戦、そして試合中盤の素晴らしいスノーボール能力。Febivenは良いmid lanerですが、チームとまとまりのないところがあります。Huniは信じられないほどすごい。Top lane carryです。EU LCSにおいてはチーム内の与ダメージ割合でナンバーワンを誇り、MSIでもそれは同様です。Bottom laneはレーニングフェーズ中は明らかに弱いけれど、Yellowstarは偉大なリーダーで、ベテランの選手です。
大きな展望を見ると、私自身と多くのアナリストが出したのは、FNCがAHQを下して4位で抜けるだろうという意見でした。Fnaticにまとまりがないのは明らかだし、他の実況者以外の何よりも私自身が、国際イベントでは何が起こるかわからないと常に思っていました。実際、過去には何度もそれで批判されてきたことですしね。
以上のことが、私がTSM対FNCの試合に持ち込んだ「先入観」です。私はこれを「筋書き」と呼んでいます。一旦試合が始まってしまえば、試合の筋を完全に放り出してしまうのは不公平だと言えるでしょう。繰り返すけれど、このストーリーは、私が自分の解析に持ち込んで、それを覗き込むためのレンズです。
それをもってすら、何をもってみんなが私のことを偏見持ちと呼ぶのか、完全にはわかりません。試合のある時点で、TSMが遅くてずさんなプレイをしていることを批判しつつも、「TSMは時差ボケしているかのようなプレイだが、そうじゃないのは明白だね!」というようなセリフを私は言いました。なぜなら、どんなチームも時差ボケへの適応という問題を抱えていて、FNCもそれは同様だったけれど、FNCは歯切れの良いきれいなプレイをしていたからです。私は2回実況したFNCの試合両方で複数回、「相手に対して自分のスタイルを押し付けている様を実況できてうれしい」と言及しました。Huniがbottom laneにプレッシャーをかけることをどれだけ好んでいるかということについて、詳細に話しました。Fnaticが継続的に試合のテンポを早めている様子についても。かつての彼らに比べ、非常にきれいなプレイをしている様子についても話しました。また、複数回に渡って、それがとても驚くべきことだということについても言及しました。なぜならそれは、とても驚きだったからです。これらは先入観ではなく、私がFnaticを甘く見積もっていたり、彼らを見捨てていたりしたわけでもありません。事実がストーリーになったのです。
TSMのポイントについては、「問題は、TSMが実際にこのような悪い結果に終わらないと自分が思っていたことだ。HuniがCassio topをロックした時から、彼らは試合を投げ出したように思えた」と読めるような私のツイートに対して、多くの批判を見ました。Twitterには明らかに文字制限があり、解釈の問題が残ってしまいます。MSI参加前のTSMについてのストーリーにもとづいた、そのツイートはTSMへの無条件批判の発端となってしまいました。彼らはMSIでは全くダメでした。Cassioについての点は、「彼らはそういうふうには見えなかった」という文章がもっと適切だったでしょう。私が実況したTSMの試合全ての、私が解析の中で指摘したように。でも彼らはそうしなかったのです。
TSMの試合での実況では、試合中にTSMが犯したシステム的な失敗について話しました。TSMのtop lanerが、支援もなく、他のオブジェクティブの代償となることもなく、何度もダイブされることを止められなかったことについて話しました。TSMがmid laneでのBjergsenのフォーカスを失い、gankがなくなったことで彼が見捨てられ、プレイを主導するチャンピオンチャンピオンから遠ざけられていることの両方についても話しました。実況中、私はTSMの動きについてとても批判的でした。私がTSMのファンボーイになりたかったのなら、その点では非常に良くない仕事をしたと言えるでしょう。
先入観がなく隅々まで調査された視点を実況デスクに提供しようとベストを尽くし、このイベントの開幕前にもう存在していたストーリーへの嫌悪感が噴出するのを見るのは、むしろ苛立たしいことです。皆さんが私にイベントの開幕時からTSMへの罵詈雑言を期待していて、今シーズンTSMがダメなパフォーマンスを見せるのであれば、それは本当のストーリーとは言えませんし、真実にもとづいたものでもないでしょう。
他人を先入観持ち呼ばわりする人たちは、自分たちの視点をもう一度吟味する必要があるのではないでしょうか。私はよくそう思います。
どのみち、もし皆さんの中に、この投稿を読んだ後でも私が先入観持ちの実況者だと感じている人がいれば、どうぞ教えて下さい。皆さんが実況者に期待している、具体的な実例を教えてもらうのは好きですし、私が現在提供しているストーリーや筋書きを皆さんが欲しているかどうかも聞きたいと思います。批判への対応や、コミュニティからのフィードバックについて、私は常に重きを置いています。そういったものを見て、なぜそれが起こっているのかを論理的に理解できない時、イライラするだけなんです。朝3時、ホテルの部屋からこの投稿を書いている理由は、たぶんそういうことです。
要約:Baylife #Justtiltthem
(訳注:baylifeはTSMのブランド名、Just tilt themは「自分から試合を投げ出しただけ」といった意味)