2018年7月24日火曜日

Doublelift選手の「絶え間なく進化するゲーム」への返答


Doublelift選手が発表した、最近のLoLのゲーム変更スピードを批判する内容の動画に対し、LoLのデザインディレクターであるGreg "Ghostcrawler" Street氏がボードに投稿した、Riotの立場からのゲーム変更への考え方の訳となります。

画像は公式動画「/dev diary:ライアットの考える“いいチャンピオン”について」より

原文
A Response to Doublelift on a Constantly Evolving Game


数日前、Doublelift選手がLoLにおける変更の速度について話す動画をアップしました。見る価値のある動画です。彼は私の発言を特に引用していたので、ここでRiotの考え方を示すのにも価値があると考えました。彼の言っていたことの多くには私たちも同意するので、論破しようとする意図の文章ではありません。しかしこの形を取ることによって、少なくとも皆さんに私たちの目標や、必ずしもそれが達成できない理由について考えてもらえるのではないかと思います。

変更のコスト

ます最初に、変更にはコストがかかるということです。「新しいことを学習するのは楽しい」とDoublelift選手が言うように、これは一度LoLを辞めたプレイヤーが戻ってくる要因のひとつです。しかしながら、これをうまく機能させるには、前に進んでいるという感覚が得られる必要があり、気狂いRiotがゲームをリセットし続けているせいで一歩も進めていないという感覚になってはいけません。私自身はプロと違い、チームとキャリアが1日あたり12時間のスクリム次第というわけではありませんので、完全にプロ選手の立場になって考えることはできません。私たちが行った変更のせいでプロがチームの順位を下げてしまったと感じるのは、非常によくありません。どんなプレイヤーでも、多大な時間を費やしてあるチャンピオンに習熟したのに、それがリセットされたと感じたら、これもよくありません。こういったものは明らかに私たちの目標と外れてはいますが、目標を目指すためには通過を避けられない場所でもあります。(避けられることもあるので、それはうれしく思っています)

総合的に、変更によって常にゲームを確実に前進させることが、私たちの目標です。私がデザイナーたちにある(非現実的な)ビジョンを伝えようとすることは、そこに完璧なリーグ・オブ・レジェンドがある(ない)と想像することであり、私たちが行う変更はひとつひとつがそのビジョンへ近づく行為です(一歩二歩遠ざかることがあったとしても)。「なんとなく面白くしたいから」という理由だけでの変更は、しないべきです。正直なところ、今はこれについてはあまり達成できていません。たとえば新チャンピオンを実装する理由は、常に新しく楽しめるものをプレイヤーに確実に届けられるからというのがほとんどです。でも全てをひっくるめて、私たちは前進したいと思っています。

変更の目標

ではゲームを完全に変えてしまう理由は何でしょうか? Doublelift選手が指摘したように、プレイヤーがゲームの解法を見つけ出してしまえば、マルチプレイヤーゲームはいとも簡単につまらないものになってしまいます。配信や動画コンテンツがいたる所に存在する現在では特に、プロなどが効率的な解法を見つけ出すと、あらゆる人間にすぐ拡散してしまいます。それを受け入れているコミュニティもあります――スマブラプレイヤーに聞いてみるといいでしょう。このケースでは、ゲームはほとんど変化せず、戦術やメタを進化させるのはコミュニティ次第となっています。

そういうアプローチも完全な間違いではありません。単に、アプローチ方法が違うだけです。Riotが取っているアプローチは、継続的にゲームを進化させることです。Riotが創立されたのは、Tryndamere氏とRyze氏がRTSなど当時プレイしていたゲームに対してストレスを感じていた頃にさかのぼります。その時のゲームでは、プレイヤー全員が勝利につながる唯一の戦術を知っていて、ふざけた開発者がわずかなバランス変更を加えた時にのみ、ゲームに多くの選択肢が生まれて使われていなかったユニットたちが使われるようになっていたのです。毎週毎週、多くの、実に多くの時間をLoLのプレイに費やすプレイヤーたち(プロに限りません)が存在します。もし彼らが毎試合チャンピオンや退行した戦術にストレスを溜めることになれば、私たちがそれを修正するまで多くの試合に苦しみをもたらすことになってしまい、しかも次のパッチまで2週間以内の時間がかかってようやく直るのです。問題に対して十分な修正ができなかったり、修正しすぎたりすることもよくあり、そうなるとプレイヤーの皆さんがもっと苦しむことになってしまいます。

最近の変更

2018シーズンでは、非常に激しい変更期間が続きました。ルーンの再構築から始まり、次に行ったジャングルとボトムレーンの変更は通常よりも多くの混乱をもたらし、正直に言うと私たちの意図以上でした。

ルーンの徹底的な見直しが目標へ向かう進捗は総合的に満足できるものでしたが(全てのプレイヤーが満足していないことももちろん認めたいと思います)、ローンチ後にゲームの大部分をスムーズにしなければならなかったのもわかっていました。バランス面ではストップウォッチなど、デザイン面では征服者など、必要なフォローアップを行ったため、プレイヤーはシステムの一部を再学習し続けなければなりませんでした。しかしルーンについては、これまでに変更を行わなければ状態が悪化していたでしょうし、長期的にさらなる仕上げを行っていくことでLoLはより良くなると考えています。

大きめの問題を解決できるよう、シーズン前半には偶数パッチの規模を大きくすることも試してみました。ここで行った魔力アイテム群の整理は、数年前のミッドシーズンに行ったものよりも大規模です。もっと最近には、ミッドシーズンを3パッチに拡大してそれぞれでゲームの変更を行ったことが、今年起こった苦痛の大きな源となりました。皮肉なことですが、大きな変更を同時にたくさん実装した時に個々の問題がわかるまでに時間がかかることがあり、対応が必要な問題がわかりづらかったせいで、今年のミッドシーズンの変更をスムーズに実装していきたいという目標が設定されていました。ですが多くのプレイヤーにとっては「ミッドシーズンその1、その2、その3」という体験にはならず、「ミッドシーズン1、ミッドシーズン2、ミッドシーズン3」という受け取られ方になってしまいました。

ここから起こったのは予想以上のコスト増で、パッチ8.12で予定していたファイター向けの新アイテムの実装を取りやめたのは、これが大きな理由です。ここからの数か月間のパッチでは、Worldsへの追い込みをかけ、プレシーズンでの混乱を軽減するための処置を行っていきます。大規模パッチ・小規模パッチのサイクルを続けるつもりはありません。さらに、ミッドシーズンで取ったアプローチではなく、プレシーズンは単一パッチに変更が集中することになるでしょう。今後に向け、単一パッチで大変更を行う方針に寄せていく計画でもあります。

変更による意図しない効果

私たちが行う変更は意図的なものですが、それによる影響は必ずしもそうでないということも、覚えておいてください。変更の目標とそれがもたらす変化について深く考えられるとても強力な開発チームを擁しており、それからプレイテストで変更を試し倒し、最良のもののみを実装します。しかし変更を承認するのはまず私になるでしょうし、間違いを犯すこともあります(そうなったら謝ります)。

ADCには確かにいくつかの変更をしたいと思っています。トリスターナやケイトリン、Rekkles選手をゲームから削除したくはありませんでした。ADCがボトムレーンで保持している強さの一部を移動するために、大きめの変更が必要になると私たちは考え、さらにそれでは不十分であろうとも考えました。けれども起きたのは予想よりかなり大きな変化で、私たちはボットレーンを非ADCに開放するという方針を離れ、ADCから強さを取り去りすぎないようにするという方針へと移っています。パッチ周期による恩恵のひとつは、明らかなミスを犯した時にそれを正すチャンスもあるということで、ADCもより良い場所へ向かいつつあるでしょう。

競技向けの変更

全体的に競技シーズンは大きなチャレンジになります。私たちはプロ選手のためだけにバランス調整を行っているのではありませんが、Doublelift選手の指摘にもあるようにプロプレイは明らかに大きな注意を引いていますし、大規模なLoL esportsのイベントで観客に楽しい体験を提供できるようにしたいとも思っています。残念ながら、このせいで大きな変更を行える時期というのはとても狭くなっています――最近ではプレシーズンとミッドシーズンだけになってしまいました。緊張するのは競技ゲームで修正したい問題が発生している状況で、(a) 変更が遅くなるとプロに変更への適応機会がなくなってしまうリスクか、 (b) 変更を行わないと観戦者の興味を引くことができなくなってしまうリスクが生じます。

アーデントセンサーメタが現れた昨年は、それが他のメタを押さえつけてしまうものなのか、Riotとプロたちの両方に確信が持てませんでした。アーデントセンサーの弱体化や削除の結果現れるメタはとても良くなったかもしれませんが、センサーメタはより悪化していき、少なくともプロたちはセンサーを中心に戦術を組み立てることに多くの時間を費やしました。圧倒的なものが存在するようになる……これが、変更の速度をゆっくりにする時に生じるリスクです。センサーに変更を施した時、繰り返しますが、プロが競わねばならない「ルールの激動」の幅を減らすために、彼らはは古いパッチでプレイしていました。

最近のゴールドファンネリングについても同じことが言えます。ゴールドファンネリングを中心とする試合の観戦体験がよろしくないことを私たちは懸念しています。最初は時々見られる戦略であってもいいと思っていましたが、とても圧倒的な戦術になってきています。パッチ8.14にはファンネリングを抑制するための変更が含まれていますが、既にミッドシーズンで行った変更に対してプロが適応するよう促しているのは、私たちも認めるところです。

チャンピオンの変更

大規模なチャンピオンアップデート(VGU)については投稿をひとつ書き上げることもできます。私たちには、プレイヤーの皆さんにとってプレイする興味を引かなかったり、カウンタープレイに欠けたり、単に古臭くなったりしたチャンピオンを修正する義務があります。しかし、元々の状態からかけ離れたものに修正してしまえば、そのチャンピオンに入れ込んできたプレイヤーたちを失う大きなリスクもあるのはわかっています。それでも、ゲームのためにはやる価値があると判断することもあります。知っているものがなくなるのは嫌だというのは実際大きな問題ですが、LoLはシングルプレイヤーゲームではないので、楽しいからといって強すぎるキャラクターをプレイできるのは容認できません。

Voyboy氏はツイートで、少し強すぎるチャンピオンをプレイする時に他プレイヤーにかかるコストについて話しており、弱体化ではなく強化を行う際に難しい点についても言及しており、とても良い内容です。

チャンピオンアップデートにまつわる機会と難しい点の多くを浮かび上がらせてくれたのは、エイトロックスです。これについてここで書こうかと思いましたが、もうだいぶ長い文章になっているので、別の議論にするのがよいでしょう。

ここまで読んでくださってありがとうございます。Doublelift選手の動画は看過しても問題ないものでしょうが、返答するならこれ以上遅らせたくはありませんでした。動画や配信、Redditなどなどで、ゲームや私たちのプロセスについて改善できる点を指摘してくださった全ての方々に感謝します。こういった声はもちろん、耳にやさしいものばかりではありませんが、10年近くにわたりLoLが存在し続けている理由のひとつだと考えています。