Cloth5.comさまに掲載された、“Crunching the Numbers: Season 4 Offensive Masteries, Part 2(数値理解:Season 4のOffenseマスタリー パート2)”の訳です。Offenceツリーの評価についての連載記事として2回目となるこの記事では、上位のOffenceマスタリーについての評価を行っています。
Season 4ではマスタリーに劇的な変更がなされた。変更、新マスタリーそれぞれの影響、League of Legendsにおける読者諸君のプレイにとっての意味を、Cloth5がここで徹底分析。Offenseツリーのマスタリーについてのシリーズ2回目の記事を、Eph289がお送りする。素晴らしいのはどのマスタリーで、価値を見逃しているのはどのマスタリーなのか? この記事では、上位のOffenseマスタリーについて考察し、ゴールド価値に基づいた評価を下す。
解析手法
League of Legendsにおける全ての数値にはそれぞれ、その数値をアイテムとして買った場合のコストがいくらなのかという価値に基づいた、ゴールド価値が存在する。通常、その数値を得るための最低効率のアイテムを価値基準として使用する。Attack Damageにおいては、+10 ADを得られるLong Swordが360ゴールドであることから、1ポイントのADの価値は36ゴールドであると計算した。同様に、Amplifying Tomeを用いた計算から、1ポイントのAPの価値は21.75ゴールドと計算できる。一部のマスタリーには、他のマスタリーよりも1ポイントあたりのゴールド効率が悪いものがあるが、比較する時にはこれも考慮している。
シリーズの初回を見逃しているのであれば、こちらで読むことができる。
Executioner
Executionerはヘルスが20/35/50%以下のチャンピオンに対するダメージを5%増加させる。Offenseツリーに9ポイントを越えてポイントを割り振ろうとするのであれば、このマスタリーには最大限のポイントを注ぎ込みたくなるのは当然だ。
この4つのグラフは、Executionerをゴールドに換算した値を示したものだ(そもそもこのマスタリーが起動するのは、相手のヘルスが低いことが前提)。与ダメージが高いほど、Executionerにはより高い価値が生まれる。異なるレート値から同じダメージを出すとすれば、Executionerをゴールドに換算した値は低レート値のチャンピオンでより高いものとなるが(あまりスケールしないため)、Executionerの価値を最大限に引き出すのは、結局のところチャンピオンがどれだけ多くのダメージを与えられるかなのだ。
しかし、低い段階(500ダメージ)にあってさえも、APであれば150ゴールド、ADであれば300ゴールドを越えるゴールド価値をこのマスタリーから得ることができる。3ポイントを費やしても非常に効率がいいとは言えるものではないが、レイトゲームでの可能性(1ポイントあたり200ゴールド超の価値がある)を考慮した時、Executionerはとても良さそうだ。このマスタリーがレイトゲームで役立つマスタリーであることは疑いようもなく、非常に良いマスタリーである。無論、50%を切る低ヘルスのチャンピオンに攻撃できるかどうかによるが、チャンスがあれば低ヘルスのチャンピオンを攻撃できるチャンピオンなら、Executionerを取得することで結果を出すことができるだろう。
判定:非常に良い。
Blade Weaving
Blade Weavingは敵にスキルでダメージを与えるごとに、その後の通常攻撃のダメージを1%増加させ、この効果は3回までスタックする。このマスタリーはSpell Weavingの対になるものなので、前回の記事でSpell Weavingの効率について議論した時と同じ比較ができる。
どんな%増加のステータスにも言えることだが、このマスタリーはレイトゲームにおいて効果が高い。また、このマスタリーを生かせるチャンピオンも限られる──主に通常攻撃とスキル攻撃を織りまぜる攻撃パターンのチャンピオンだ。
試合序盤、通常攻撃のダメージが100ダメージ付近までの時間帯では、フルスタックしたBlade Weavingの価値は約100ゴールドである。これは構わないのだが、フルスタック時のみの価値である。フルスタックを下回ると、Blade Weavingの価値は約40ゴールドにまで下落し、取るに足らないものになってしまう。
さて、通常攻撃のダメージが300に到達したレイトゲームでは、1スタック時のBlade Weavingは108ゴールド、3スタック時には324ゴールドと素晴らしい付加価値を持つ。また、APにとってもLong Swordとほぼ等しい価値がある。このことは、通常攻撃にAPレートが付随するチャンピオン……KayleやTeemoのようなチャンピオンにとって、非常に有益だ。このマスタリーを役立てることのできるチャンピオンのリストをここに挙げておく。
判定:スキル攻撃を行うADチャンピオン(たとえばCorki、Talon、Graves)や、on-hit効果にAPレートが乗るチャンピオン(Kayle、Teemo、Twisted Fate)に適している。
Warlord
Warlordは通常攻撃の増加ダメージを2/3.5/5%増加させる。繰り返すが、これもまたレイトゲームのマスタリーだ。試合序盤、増加ADが30程度の時間帯には、このマスタリーの価値はわずか50ゴールド──しかもこの価値は、3ポイントをこのマスタリーに注ぎ込んだ時のものだ。試合中盤では、増加ADは100程度なので、このマスタリーを3ポイントで取得していれば180ゴールドの価値を得られる。価値は上昇しているが、劇的なものとは言えない。
増加ADを220得る(Bloodthirster、Last Whisper、Infinity Edgeを買い、さらにルーンとマスタリーのADを合計して)ことができれば、Warlordはその真価を発揮する。その価値は400ゴールドに達し、1ポイントにつき130ゴールドもの価値があることになるのだ。
判定:多くのADアイテムから成るビルドを行うチャンピオンに適する。
Archmage
Archmageは増加APを2/3.5/5%増加させる。Warlordと同様に、これもまたレイトゲーム性の強いマスタリーだが、若干の違いがある。ひとつは、APとADの両方を獲得してゆくほとんどのチャンピオンにおいて、APの方が試合開始時から高い値であるということだ。二つ目に、APはADよりも価値が劣るということだ。
40 APを持っている試合序盤では、3ポイントを注ぎ込んだArchmageには44ゴールドの価値がある──ひどい! だが、%で増加するということは、レイトゲームで輝くということだ。150 APを獲得していれば、3ポイントのArchmageは163ゴールドの価値を持つ。300 APでは、1ポイントごとに100ゴールド超の価値があることになり、500 APに達するレイトゲームを想定すれば、3ポイントのArchmageは550ゴールドの価値を持つ。これは素晴らしい利益だ。
判定:多くのAPアイテムから成るビルドを行うチャンピオンに適する。
Dangerous Game
Dangerous GameはFeastと同様、キルの褒賞を受け取るマスタリーだ──対象はチャンピオンである。このマスタリーは、チャンピオンを1体キルすると、その時失っていたヘルスとマナの5%を回復する。いくつかの理由から、このマスタリーを評価することは非常に難しい。まず最初に、チャンピオンをキルする時のヘルスとマナの損失は、常に変動する。次に、Dangerous Gameはキルした時のみ効果があり、アシストは意味がない。最後に、Grievous Wounds(訳注:チャンピオンのスキル、アイテム、Igniteによるヘルス回復半減効果のこと)による制限を受けていれば、得られる利益が少なくなってしまうということだ。
これだけは言っておこう。1000 HPを失っている時にチャンピオン1体をキルすれば、50 HPを回復する(Igniteを受けていなければ)。これはHealth potionの3分の1だ。500マナを失っている時にチャンピオン1体をキルすれば、25マナを回復するが、これもMana potionの4分の1だ。
ゴールド価値の視点では、その時々の失ったヘルス値が一定しないため、このマスタリーの価値を単純に計算することはできない。だが、最高のケースを標準として想定してみよう(たとえば、20スタックのMejaiを持つFizzが敵全員を2回触るだけで殺していくというのはそうそうない)。残りヘルスわずかで、大量のマナを消費したチャンピオンをプレイしていて(平均損失1000 HPと消費マナ500)、1試合に8キルしたと仮定してみよう。このチャンピオンは、相手をキルした時にIgniteを受けることはなかった。この場合、Dangerous Gameは合計で400 HPと200マナを回復したことになる。ポーション換算すると、これはHealth potion 2.67本分(93ゴールド相当)とMana potion 2本分(70ゴールド相当)になり、最高で163ゴールドの価値があったことになる。
そう、これはいいやり方だ。そのキルのうち半分はIgniteを受けていたとしたら、どうなるだろう? その時の価値は112ゴールドまで下がり、あまり価値がなかったということになる。4キルしかできなかったとしたら? ゴールド価値は82ゴールドに下がる。マナを持たないチャンピオンだったら? 8キルしていたとしてもヘルスの損失のみになるので、Igniteなしの想定なら、93ゴールドの価値しかないことになる。
この方法は、ゲームから切り離してゴールド価値を論じるには上手く使うことができる。だが、Dangerous Gameの本当の価値とは、プレイ中にどれだけ危険を冒したかによって変わってしまうものだ。ダメージを受けるリスクを冒してキルを取ることのできる攻撃的なプレイヤーは、このマスタリーからさらなる価値を引き出すことができるだろう。そしてこのマスタリーによって命を救われたことが一度でもあれば、自分を殺させなかったことで敵にゴールドを獲得させなかったという理由から、このマスタリーには無二の価値が生じる。一方で、自衛的なプレイを志向し、多くのキルを獲得するのではなく、単純に敵の進撃を止めるに留まるのであれば、このマスタリーの価値は減じるだろう。
判定:他マスタリーと比較しても、Dangerous Gameの価値はプレイスタイルに拠って変わる部分が多い。平均キルが多く(10以上)、ヘルスが低くなりがちなのであれば、このマスタリーはそんなプレイヤーにぴったりだ。より自衛的なプレイなら、このマスタリーはあまり助けにはならないので、とばした方がいいだろう。
Frenzy
Frenzyは、クリティカル攻撃が発生した直後3秒間、ASを5/10/15%増加させる(3回までスタックする)。ASは1%につき33.3ゴールドの価値があるため、クリティカル攻撃を発生させるだけで、最初のスタックには167ゴールドと途轍もない価値が生じる。3スタックさせることができれば、このマスタリーはASの面で500ゴールドの価値がある。もちろん、このマスタリーはレイトゲーム志向のもので、頻繁にクリティカル攻撃を発生させられることによって─ある種のチャンピオン性能と、特定のアイテムビルドが要求される─素晴らしいゴールド価値を引き出すことができる。
判定:クリティカル率にゴールドを投資するチャンピオンにとっては、非常に良いもの。
Devastating Strikes
Devastating Strikesは、2/4/6%のArmor PenetrationとMagic Penetrationを得られるマスタリーだ。% penetrationの数値は、Void StaffとLast Whisper、これら2つのアイテムからしか得ることができない。これらのアイテムには他の能力値も付属しているため、% penetration値の価値は概算するしかない。
Last WhisperとVoid Staffのゴールド効率のみを、他の能力値分を割り引かずに計算すると、1% Armor Penetrationには150ゴールド、1% Magic Penetrationには132ゴールドの価値がある。
どちらかのpenetrationしか使わないとしても、このマスタリーはとても良いものだ。その上、Armor/Magic Penetrationは係数を掛け算していく能力値のため、このマスタリーと購入した% penetrationアイテムを合わせて、最終的に38%のArmor/Magic Penetrationを獲得することができる。
最後に、正直に言わせてもらおう。% penetrationは供給元の限られる、最も評価の難しい能力値のひとつなので、わずかでも得られるなら、是が非でも欲しい能力値である。
判定:Offenseツリーを深くまで掘り下げて取得するつもりなら、必須。
Arcane Blade
Arcane Bladeは、Season 3時の旧マスタリーであるSpellswordの名前を変更しただけのものである。Arcane Bladeは通常攻撃にAPの5%の魔法ダメージを追加する。これはAP特性のチャンピオンにのみ有用だろうが、こう考えることもできる。Nashor's ToothもしくはLich Baneを買うチャンピオンか?
イエスと答えるのであれば、このマスタリーが欲しい。100 APでは、このマスタリーは通常攻撃ごとに109ゴールドの価値を付加するのみである。300 APでは、on-hit効果として327ゴールドの価値を持つ。500 APでは、通常攻撃ごとに540ゴールドの価値を生み出す。
判定:このマスタリーから恩恵を受けることのできるチャンピオンたち(Kayle、Teemo、Fizz、Twisted Fate、Akaliなど)にとっては、Arcane Bladeは計り知れない価値があり、必須のマスタリーである。
Havoc
Havocはあらゆる与ダメージを3%増加させるマスタリーだ。Executionerと同様に、APとADの両面から、ダメージ増加の推移をグラフに示した。より大きなダメージを出すことができれば、Havocの価値はダメージにおいてもゴールドにおいても上がっていく。高レート値でスケールするチャンピオンよりも、低レート値のチャンピオンにとって、Havocのゴールド価値(基本ダメージ/アイテムから算出されるダメージを等価とすれば)はより高いものとなる。
しかし、レート値1.5の500ダメージ(ほとんどの攻撃的チャンピオンにとっては試合中盤でultimateを含まないコンボで出せるダメージ)時点でさえも、APでは218ゴールド、ADでは360ゴールドの価値がある。この数値はその後、さらに増していく。
判定:Havocは素晴らしいゴールド価値を持つマスタリーで、Offenseツリーに21ポイントを割り振るつもりなら、取得すべき。
結論
Offenseツリーの高tierマスタリーは、取得しようとするチャンピオンにとっては非常に手堅い品揃えとなっている。クリティカル重視ビルドのチャンピオンにはFrenzyの相性がピカイチであるし、Kayleのような通常攻撃にAPが乗るチャンピオンにとってはArcane Bladeの価値が非常に高い。ADでもAPでも、Devastating Strikes、Executioner、Havocといったマスタリーはよくマッチするし、WarlordとArchmageもどちらかを選ばない理由がない。上位tierのマスタリーは、レイトゲームに輝く割合増加型のものがほとんどだ。そのため、攻撃的なアイテムを多く含むビルドをしないのであれば、Offenseツリーを無理に埋めて上位tierのマスタリーを取得しようとするべきではない。
価値が疑わしいマスタリーはDangerous Gameのみだが、これも結局はプレイスタイルの問題に帰結する。このあやふやなマスタリーはいざという時に頼りにできないものだが、これのおかげで命拾いをしたことのあるプレイヤーにとっては、選ばない理由はあまりない。攻撃的でないスタイル、キルをあまり多く獲得しないスタイルのプレイヤーにとっては、このマスタリーは役立たずである。
要約
- Double-Edged Sword:アサシン/バーストメイジ/Siegeスキルファイターに適しており、それ以外には適さない。
- Fury:通常攻撃を主な攻撃手段とするチャンピオンに適しており、それ以外には適さない。
- Sorcery:スキルファイターに適しており、それ以外のチャンピオンでも良いマスタリー。
- Butcher:どう考えても非効率的。
- Expose Weakness:サポート、スキルを攻撃の起点とするADキャリー、ユーティリティメイジ、タンキーなtop、ジャングラーに適する。
- Brute Force:ADを伸ばすチャンピオンに適する。
- Mental Force:APを伸ばすチャンピオンに適する。
- Feast:マナをリソースとして用いるチャンピオンには効果的だが、取得条件が厄介。とばそう。
- Spell Weaving:スキル攻撃と通常攻撃を織り交ぜて使うチャンピオンで、攻撃重視のビルドをする場合は非常に有効になる可能性が高く、特にBlade Weavingと組み合わせて運用すると高い効果が見込める。Offenceツリーに9ポイントしか割り振るつもりがないのであれば、無価値。
- Martial Mastery:弱体化されたが、ADチャンピオンではまだ有効。
- Arcane Mastery:弱体化されたが、APチャンピオンではまだ有効。
- Executioner:どんなチャンピオンで運用しても素晴らしい。
- Blade Weaving:スキル攻撃と通常攻撃を行うチャンピオンに適するが、特にADや、通常攻撃にAPレートが付随するチャンピオンの強みを伸ばしてくれる。
- Warlord:ADチャンピオンに適する。
- Archmage:APチャンピオンに適する。
- Dangerous Game:プレイスタイルによる。個人的にはとばす方がいいと思う。リソースとしてマナを用いないチャンピオンには効果が薄い。
- Frenzy:クリティカル偏重ビルドを行うチャンピオンであれば適する。
- Devastating Strikes:どんなチャンピオンで運用しても素晴らしい。
- Arcane Blade:Lich BaneやNashor's Toothをビルドに含めるチャンピオンにのみ適する。
- Havoc:どんなチャンピオンにも適する。
原文
Cloth5 | Crunching the Numbers: Season 4 Offensive Masteries, Part 2 by Eph289
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