開発ブログ、今回はチャンピオンのアニメーション制作プロセスについて、RiotLamz氏の詳しい紹介が掲載されています。
Dev Blog: Champion Animation | League of Legends
やあみんな──今回はRory “RiotLamz” Aldertonが、チャンピオンにアニメーションをつけるプロセスの中へと、皆さんをご案内しましょう!
フォーラムやイベントでプレイヤーの皆さんとお喋りしていても、チャンピオン制作は常にホットな話題なので、私たちがどのようにチャンピオンの動きを作っているかについて、少し時間を割いて説明したいと思いました。
最初に示さなければいけないのは、私たちがアニメーションをつけている方法です。このところアニメーション産業が使っている2つの技術があります。手描きのキーフレームアニメーションと、モーションキャプチャーです。皆さんは、マーカーのついたボディスーツに身を包んだ俳優が走り回っている動画を見たことがあるかと思います。これがモーションキャプチャーで、数えきれないほどのゲームや映画で使われており、キャラクターに写実性を持たせ、命を吹き込むための手法となっています。それから、手描きのキーフレームアニメーションは、アニメーターがアニメーションのフレームを1枚1枚手描きで描いていく方法です。これには時間がかかりますが、最終的に完成したアニメーション全体を、アニメーターがより大きく制御することができます。こちらはアニメやスーパーヒーロー系の映画で使われることが多く、アニメーターが動きに過剰な強調をつけ、キャラクターの骨格を超越したアクションを取らせたい時に使われています。
さて、皆さんは私たちがどちらを使っていると思いますか? 答えは後者、手描きのキーフレームアニメーションです。私たちは何年も前に─私が入社する前に─この技法を使うことに決めていました。それは私たちの社内の流儀を維持するのに不可欠で、Leagueのゲームプレイに影響を及ぼさず、スムーズで瞬間的なアニメーションをお届けする助けとなるからです。最終的には、手描きのキーフレームアニメーションは、フレームを汚したり、潰したり伸ばしたりといった様々なアニメーションを可能にしつつも、ゲームプレイの読み取りやすさのため、象徴的になっているキャラクターのシルエットを全て維持しているのです。
よし。では実際の例を詳しく見てみましょう!
YasuoのUltimateにあった困難
Ultimateというのは、ビジュアル面でもゲームプレイ面でもインパクトのある、最大の単一能力であることが多いものです。自分が今まさにDariusのギロチンにかかるところであっても、Zacの跳び込みで死ぬところであっても、アニメーション─ビジュアルはスキルの能力を伝えるのです─には、ライフよりも大きく、確かな読み取りやすさが求められます。それを念頭に置いて、Last Breathの最中のYasuoをどのように動かせばいいのか、私たちは実際に考えなければなりませんでした。彼に相応しい、スキル使用時間の1秒間─アニメーションのフレーム数は30フレームとなります─に機敏さと力強さを感じさせるように。ゲームプレイ面では、アニメーションがこの時間を超えないようにする、というのは絶対の要件でした。可能な限り明確でインパクトがあり、かつユニークであることが求められるため、彼らを実際に動かし始める前に、コンセプトとなるアイディアを決定せねばなりません。初期のアイディアのひとつは、1秒間かけてYasuoが敵を上方向へと斬り裂くというものでしたが、結局はスキルのビジュアルエフェクト(VFX)が不明瞭で、彼のポーズ全体が占めていたスペースがあまりにも小さかったので、プレイテストの間は十分なインパクトがほとんどありませんでした。Yasuoがほとんど見えなかったのです。
次に私たちが試したのは、Yasuoを跳躍させ、3ヒットコンボをさせるというポーズでした。このアニメーションのコンセプトはレビューまで進み、すぐに決定となりました! やりました! 次は実際のアニメーションのプロセスです。私たちは、空中を通過する3つのポーズを、全てが滑らかに繋がるようにするところから始めました。これは最も長い時間参照されることになるアニメーションの3つの瞬間を示したもので、本当に重要なものです。これらを完成させてから、Yasuoの四肢が描く弧のモーションを肉付けするために、ポーズを繋ぎ合わせるアニメーション作業を行いました。以下にあるのが、私たちが成し遂げた結果です。
次に、私たちはアニメーションを結合し、静止したポーズから流れるような動きへと滑らかに動かす作業を行いました。この段階で、アニメーションはゲームの中に持っていけるまでほとんど完成しているように見えますが、Yasuoの髪と縄─動かすためには退屈で長々とした作業が必要です─は、まだ全く動いていません。メインの身体のモーションを動かすことにアニメーターが満足してしまえば、こういったものの動きを手作業でつけていくのが一般的ですが、私たちは「Jiggle Tech」という名の素晴らしい新技術を一部に用いることにより、この作業を行いました。この技術によって、アニメーションツールの中で物理演算を即座にシミュレーションすることにより、何かを動かしたり、Yasuoの身体のモーションにリアルタイムで反応したりする準備ができるようになりました。つまり、髪と縄のアニメーションをやり直す退屈な作業を何度も行わずに、すぐにアニメーションを繰り返したり、調整や変更を行うことができるようになったのです。
さて、これでアニメーションの大部分は作り終えたので、仕上げを始めましょう。この段階では、キャラクターと支柱を馬鹿げたほど誇張されたプロポーションに伸ばしている、単一のフレームに汚しを入れたくなります。これを行うと、さっとモーションにぼかしがかかり、アニメや漫画の表現のような、勢いのある印象のアニメーションを作ることができます。
Braumの制作
Braumは巨大な盾─実際には古い扉なのですが─を携えており、戦いの時もそれを持ち歩きます。これはとてもクールなコンセプトですが、Braumが攻撃する時とスキルを使う時に、どのようにそれを扱うのかについて、正確に理解しなければならないということでもありました。とは言うものの、彼を動かすに当たって私たちが直面した最大の試練は、Unbreakable(E)使用中の動きでした。移動および他スキルの使用も行えるので、このスキルは複雑なものであり、私たちは360度方向の移動と攻撃のシステムを作るため、様々なアニメーションを合体させねばなりませんでした。Heart of the Freljordの最大の象徴となるスキルについて、どのようにアニメーションを作っていったかをご説明しましょう。最初に私たちがしなければならなかったのは、Braumの他の動きに分岐させていける、Unbreakableのための強力で防御的なポーズを見つけることでした。いくつかのポーズを試した後、立ち止まっている時の、地面に片手で盾を立たせているポーズを選びました。このポーズはBraumの片手が自由に動かせる状態なので、盾で攻撃するアニメーションに使えます。
次に、BraumがUnbreakableを使っている間の移動を理解しなければなりませんでした。彼は実際に味方を守り、敵の攻撃を阻んでいるのです! Braumに片手で盾を持ちながらの移動は似合わないと思っていたので(片手で持たせてしまうと、盾の重みの意味がなくなってしまいます)、盾のグリップと、移動中はBraumが両手で盾を持つように姿勢も変更しました。続いて考えなければならなかったのは移動についてで、私たちは移動時のアニメーションを「前進・左横歩き・右横歩き・後退」の4つに分類しました。これらのアニメーションをパラメータ的システムと結合させ、360度方向全てに対応する移動アニメーションを組み合わせることができました。この作業を上手く行うためには、4種類のアニメーションが全て同じ長さであること、Braumの足のパーツの位置関係が同じであること、正確に同じフレームで彼の足が地面に着地すること、この3つが重要でした。完成した結果がこちらです。
Unbreakableの待機状態と移動状態のアニメーションを解決した後、私たちはE使用中のBraumの攻撃アニメーションを考え始めました。これはスキル構成(デザイナーが絶対に外せないとしたもの)の中で大きな部分を占めていました。まず、私たちは再びパラメータ的システムを使おうと試みましたが、コンピュータが作り出したアニメーションは混ざり過ぎていたので、安っぽく、インパクトに欠けていました。結局私たちは9種類のアニメーションが必要となるシステムを作ることにし、最小限の混合によって、それぞれ90度ずつの方向に要求されるアニメーションを満たすことができました。実際にはこのようになっています。
最後の細かな表情付けとして、社内技術であるJiggle Techなどを使い、ネックレスや縄といったBraumのアクセサリーを動かします! これによりメインのアニメーションの素晴らしい補完となる補助的なアニメーションが加わり、全体的により洗練された印象となります。
最後に、私個人のお気に入りのひとつはBraumのultimateなのですが、これは、ここまでお話ししてきた、ゲーム中の一瞬一瞬を英雄的にするための、様々な要素を含む最大の実例となっています。
以上です! Riotで行われている、チャンピオンのアニメーション制作過程がどんなものなのか、少しでも皆さんに分かっていただければと思います。私たちは常に、他者と自分たち自身にとっての標準を上げるべく努力しています。なぜなら、新技術を導入し、より良い成果をゲームに注ぎ込むことは、関連する全ての訓練となる、興味深く刺激的な試練を作り出すからです。「技術は芸術を後押しし、芸術は技術を後押しする」という言葉を、私は心から信じています。
読んでくれてありがとう!