9月29日、redditに「ASUの進みが遅いのはなぜなのか」という主旨のスレッドが立てられました。
このスレッドにてゲームプレイ リードプロデューサーのReav3氏が質疑応答していたので紹介します。
元スレッド
How difficult is it to give an ASU to a champion?(リンク)
用語解説
ASU:アート&サステナビリティ・アップデート。古いチャンピオンの品質を高めるとともに過去の技術的問題を修正することで将来的な変更を容易にするアップデート。最近の事例にはアーリ、ケイトリン
VGU:ビジュアル・ゲームプレイ・アップデート。チャンピオンのアート/ナラティブとスキル等ゲームプレイを変更する、いわゆるフルリワーク。最近の事例にはウディア、ボリベア
VU:ビジュアル・アップデート。チャンピオンのアート/ナラティブのみのアップデート。現在ジャックスで予定されている
中規模アップデート:英語ではmidscope update。スキル、モーション、各エフェクトのアップデート。最近の事例はレル、ニーコ
CGU:包括的(Comprehensive)ゲームプレイアップデート。アートとナラティブをゲームプレイで表現できていなかったり、スキルの中規模な変更では十分に解決できないチャンピオンを、モデル/テーマ/ナラティブをそのままにキットを一から再構築する。事例はオレリオン・ソルのみ
ゲームプレイ リードプロデューサー、Reav3氏による質疑応答
Q. とても大変だろうね。各言語の8分近いボイス収録、全スキンに新規アート、新モデルにリグ等々。そして人気チャンピオンは不人気チャンピオンよりも稼いでくれるから、リー・シンやティーモが優先されてブランドやマルファイトは後回しになるのも容易に想像がつく。
A. より詳しく語ると、リワークのコストは新チャンピオンを作ることに比べるととっっっても高いです、おそらく新チャンピオンより2-3倍の時間リソースが必要です。私は何年も新チャンピオン/VGU/VUなどに関わってきましたので何が必要になるのかを詳しく解きほぐすことができます。
- 新コンセプトアート、時にはIPにマッチするように再デザインします(チャンピオンが現在のロアにマッチしていない場合など)。ジャックスはこれの好例ですね。ジャックスが何者で、なぜ3本指の紫色の人物だったのかが以前のバージョンでは定義されていませんでした。なので私たちは始める前に現在のIPに一致させるためにナラティブ/コンセプトの作業が大量に必要でした。
- 新しいモデル、リグ、VFX、モーション
- 新しいボイスを全言語、それと全レジェンダリー以上のスキンにも
- 全てのアップデートされるスキンに新コンセプトアート
- 全スキンに新しいスプラッシュアート、もしくはその一部変更
- 新モデル、VFX、モーションを全スキンに。モーションにおいては少なくともリコールモーションを新しくする必要がありますが、レジェンダリー以上のスキンではさらに大量のモーションを用意しなくてはなりません
- (古いチャンピオンだったら)多くの場合でチャンピオンキットのスクリプトも完全に再構築します
- ある程度のマーケティングキャンペーン(実装により差があります)
新チャンピオンはローンチスキンがひとつしかないので、リワークでのスキンカタログを揃えるにはその2-3倍の労力がかかります。特に10個以上のスキンを持つチャンピオンにおいて、全スキンカタログをリメイクするのがどういうことか完全に理解している人はいないと思います。古いスキンは現在の基準を満たしていなかったり単に色を変えただけだったりするので、完全なリフォームをしなくてはならないこともあります。
特に純粋なASU/VUがVGUを受けたチャンピオンほどにエンゲージメントを増やさないことを考慮すると。これは大変な仕事です。なので結局は、ASU/VUのメインとなる顧客はそのチャンピオンを一番プレイするプレイヤーたちになります。そう考えると、最も多くのプレイヤーをハッピーにするには人気の高いチャンピオンを対象に選ぶことが合理的です。同時に、人気の高いチャンピオンはスキンカタログも分厚いので、時間/リソースが大量に必要になります。そのため人気の低いチャンピオンであっても、安く実行できるので同価値になることもあります。
とは言ったものの、これが重要なことであることはわかっていますし、皆さんがこの活動を愛してくれている(私自身も含まれます)ので常に実行の機会を探しています。(原文)
Q. VGUの説明ありがとう。いつの日かマルファイトもASUを受けてさらなる人気を得て欲しいです。
A. 私たちはVU/ASUを速やかに進める方法を模索しています。最近はより強力になったアウトソーシングシステムがあるので以前よりは速くなりました。皆さんがそうは感じられないのを理解しています。アウトソーシングを増やしても、スキンカタログはそれ以上に分厚いのです。もっと進めていきたいと思っています。(原文)
Q. アーリのASUではレジェンダリースキンの更新は微調整程度でしたよね?その手法であればエレメンタリスト ラックスを完全に作り直すような偉業をしなくてもすみますし、実際VFXとアートの調整で十分だろうと思います。
A. それはチャンピオンとそのレジェンダリースキンが耐えうるものかどうかによります。一部チャンピオンではあまりに良くなかったのでレジェンダリースキン用に新しいリグを作りました。作り直す必要がないケースもありますが、いつもそうだとは限りません。(原文)
Q. ケイトリンやアーリのASUは事前の告知等もしっかりされていたのもあって高評価だったと思います。ジャックスもちゃんと盛り上げていればよかったのに、今回のやり方ではちょっとマーケティング不足ですよね? ジャックスVUの成果(エンゲージメント)はこれまでのものより下がるでしょうね。
A. エンゲージメントはソーシャルメディアやredditなどでどれだけ取り上げられたかを見ているわけではありません。単純にどれくらい多くの人がVU/ASU後にプレイを始めたかのデータを見ています。前例を見ても、エンゲージメントは少しも変化しません。最初のパッチではやや盛り上がりが見れますが、その後はこれまでのエンゲージメントと同じに戻ります。VGUではエンゲージメントが持続する傾向にあり、VGUを受けたチャンピオンのエンゲージメントは長期的に増加することがわかっています。ケイトリンはこの部分の解析が難しく、その理由としてArcaneに出演したチャンピオンはみながArcane公開後だけプレイ人口が増えていました。ビクターだけがArcane以後もプレイ人口が変わらなかったチャンピオンです。ケイトリン/アーリの現在のプレイ率を見るとASU以前の状態と変わらない位置にいますね。その一方でウディアはVGU以前と比べると高いプレイ率を保っています。
実際、中規模アップデートのほうはVU/ASUに比べて全体的にエンゲージメントへの影響が大きく、必要なリソースもかなり少なくすみます。
今はエンゲージメントは私たちがこのような活動をする唯一の理由ではなくなっています。私としてはVU/ASUはエンゲージメントの大きな原動力にはならないとだけ言っておきます。基本的に全てのプレイヤーがVU/ASUを好意的に受け止めていて誰も嫌わないという、感情面での大きな原動力です。VGU/中規模アップデートはそれがどれだけ良質であったとしても、ある程度は変化に対する嫌悪感や否定的な感情が出てしまいます。
感情面は私たちがVU/ASUを促進する理由のひとつではありますがそれがメインではありません。VU/ASUをするメインの理由は、それがゲームの全体的なクオリティに重要だと考えているからです。たとえそのペースがどうなろうとも(いろいろな要素に左右されます)クオリティが最低のものを探し出しそれを現代の品質に改善することが重要なのです。すると結果として、人気の高いチャンピオンはプレイされるゲーム数も多くなるため、対象を選ぶときにはまたしても人気度が重要になります。そのチャンピオンに低クオリティのアートがあった場合は、低クオリティのアートのそのチャンピオンが登場するゲームも多くなるということです。(原文)
Q. つまり、ミス・フォーチュンはゲーム内モデルが優れていないので来年中にはASUされるということでいいですね?
A. ミス・フォーチュンはビルジウォーターイベントの際に小規模なVUが行われました。彼女にも当てはまるかもしれないが、現時点で最悪のチャンピオンの座からは大きく離れていると思います。(原文)
続
Q. でもMFのそのイベントは8年前のものですよ。当時と同じボイスと同じモーションで、間違いなく時代遅れといえます。
A. ミス・フォーチュンがアップデートを必要としていないとは言っていません。より必要としているチャンピオンが他にいるということです。(原文)
Q. CGUについてどう考えているかも教えてください! まだ実績がオレリオン・ソルしかないものの、結果は成功で今後も続けていくという話だったと思います。
A. CGUは最高ですのでもっとやりたいと思っています。問題はCGUがトリッキーな手法であり、CGUに適したチャンピオンがそれほど多くないということです。CGUとは基本的にアートとテーマを引き継いだ上で現在のキットを完全に消去するものです。それからデザインチームが既存のアートとテーマに基づいた全く新しいキットを基礎から再構築します。オレソルの場合は「宇宙のドラゴン」テーマはクールでシビれるものでしたが、キットではそれが発揮されていませんでした。
キットの完全な削除と新しいキットを再構築することを軽視してはいません。(不人気だったとしても)プレイヤーが何百とプレイしてきたキットを取り上げて削除するのに十分な意義があると判断したものでなければなりません。
現時点でもこの枠に当てはまるチャンピオンが数人いるとは思いますが、現在のキットよりも確実にアップグレードできる新しいキットを用意する必要があります。もしそれが満足いくものでなかった場合、感情の面でかなり悪いものになってしまうでしょう。(原文)
続
Q. 旧オレソルだってあれほどの不人気だったのにリワークに対して一定数の反発がありました。たとえイラオイがCGUを受けたとしても今のキットから変えられたら猛反発が起きるだろう。既存プレイヤーの反感を買わないリワークというのは難しいものなのでしょうね。
A. そのとおりです、ですがそのチャンピオンのプレイヤーベースが小さいかどうかで、どれだけのプレイヤーが嫌な思いをするかに大きな差が生じます。イラオイはCGU前の数パッチにわたり最も不人気なチャンピオンだったオレソルに比べるとかなり大きなプレイヤーベースを持っています(オレリオン・ソルとスカーナーがパッチごとにその座を譲り合っていました)(原文)
Q. モルガナならCGUの対象に相応しいでしょう。スキルセットは2009年のものです。
A. モルガナはこのゲームで最も人気のあるサポートのひとりです。彼女がシンプルであることは悪ではありません。私たちがモルガナに対して直ちにCGUを行うことはないと思います。(原文)
Q. 不人気チャンピオンがASUを受けることは可能ですか?
A. 可能です。現在私たちはASU/VUに関しての戦略について再考中です。将来的に人気度は選択における重さを減らされることになるでしょう(要素の一つではあり続けますが、その重みが減ります)(原文)
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