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2025年6月18日水曜日

パッチ25.13の変更予告内容


Riot Gamesのバランスチームのリードゲームプレイデザイナー Phroxzon氏により、6/25に予定されているパッチ25.13の変更予定が公開されました。
また、パッチ25.13期間は普段よりも長い3週間(7/16まで)になっています。


注意:PBEでの変更点リストではなく、Rioterによる変更点リストの訳となります。

前日(6/17)時点のPhroxzon氏による投稿
コメント訳
『パッチプレビュー25.13! MSIパッチです!
極めて短い変更リストになります、多くのチャンピオンがソロキューの限界点に近くなっている点と多様性の十分な広さが見られる点から、私たちはメタの現状に概ね満足しています。

ドクター・ムンド
  • ムンドは最近かなりの注目を集めており、時には大変イライラさせられる勝ち方をしたりもしている一方、実際のパフォーマンスを計測してみるとそれほどではない状態です
  • この熱狂がどのように落ち着くかをもうすこしだけ観察するつもりです。ムンドを紹介する楽しい動画のおかげでたくさんの新人ドクターがいることは確かです :) ですが彼の学習曲線がなだらかであることを考慮すると、この程度で学位を取り上げてもいいことにはなりません
強化
  • ジャングルニダリーへの強化は期待した成果には届きませんでした、なのでもう少しだけ彼女を強化するつもりです
  • ガングプランクは学習曲線を考慮に入れてもなお、少し弱いようです
  • 25.12でのジャックスの強化を受けて、彼がよりピックしやすくなることを目指しています
  • ラムスは私たちが望むよりもやや弱い実装になりました。お決まりのパターンではあったものの、妥当な範囲とはいえラムスには彼を支える数値が必要でしょう
弱体化
  • ライズは現時点の調整では打倒することはちょっと不可能にも見えます、特に25.12で彼の競合相手の多くを弱体化したあとでは。今回はあまり大きな弱体化をするつもりはありませんが、少しばかり弱くなってもらいます
  • ツイステッド・フェイトは25.12の変更によって大きく跳ね上がりました。ソロキューにおいて、特にルーデンとロケットベルトのビルドのパフォーマンスが極めて好調です
  • これを受けて、少し戻します。フェイトが競技シーンに出てくるためにこれほど大きな強化は不要だと思われます』

パッチプレビュー詳細版
コメント訳
『25.13パッチプレビュー詳細版!

影響がどう出たかを見るための時間をとるために25.12で大きく変更し、それから25.13でフォローアップしようとしていました。
今回はリストの中から興味深い変更についてお話しましょう: 

ガングプランク
  • ガングプランクのハラス能力はビスケットのマナが削除されて以来すこし劣ったものになっており、これを補うために多少のマナ自動回復を投与したのですがこれは十分なものではありませんでした
  • 彼の取り柄がQをチャンピオンにスパムするだけになることは望んでいないのですが、この点についてはまだ少し強化してもいいだろうと思われます
  • 同時にガングプランクが独自に持つ影響力を強化することで他と比較したときの強みを高めます
イレリア
  • 単純に弱かった: 特に高ELOに偏っているレーン戦を対象に、固有スキルのスタックを溜めきった後の長い戦闘に勝つための能力を強化しようと思います
  • しばらく前に行ったプロと高ELOでの偏りを是正するための変更はちょっと効きすぎたようです……
ライズ
  • ライズをメタから取り除こうとしているわけではありません、序盤のリードを築いたり反撃を回避することを可能にしていたランク1Wによる対象指定ハラスのパワーを低下させます
  • レベル6に到達できたならライズの時間です
ニダリー
  • ニダリーが最大射程の槍を当てられた場合のスキルパワーに独自の強化を与えます、これはトップレーンよりもジャングルでより有用です(トップレーンでもある程度は恩恵を受けるでしょうが)
ラムス
  • 弱い状態に落ち着きました
  • リリース前、特にプレイテストにおいてラムスは超強力だったので最後の弱体化調整でやりすぎました(最近の複合的な変更をした際にいくつか強過ぎた事例があったため、ラムスではそれを避けたかったのです)
  • 特に私たちが注意していたのはゲーム終盤に硬くなりすぎることでした、そのためこの部分を引き下げていたのです
  • この変更による副作用としてWを1番目か2番目に最大上げするビルドが恩恵を受けます
ツイステッド・フェイト
  • 前パッチで与えたウルトの強化を中程にまで引き下げます
フィドルスティックス
  • サポートで強化しすぎないようにフィドルにパワーを与えます』


チャンピオン 強化


ブライアー
  • 血の狂乱(W)
    • 通常攻撃がキャンセルされないように(逃げる敵への攻撃が改善されます)
  • 呪福の叫び(E)
    • 詠唱後のキャストタイム 0.25秒、攻撃速度で高速化 ⇒ 一律0.15秒
    • (画像ではRとなっていますが誤記と思われます)
    • チャンピオンデザイナーのAugust氏いわく「大量の攻撃速度をビルドしない限りは強化」とのこと

フィドルスティックス
  • 豊かな収穫(W)
    • ダメージ 120-360 (+80%魔力) ⇒ 120-360 (+90%魔力) 

ガングプランク
  • 偽りの発砲(Q)
    • マナコスト 55-35 ⇒ 50-30
  • 一斉砲撃(R)
    • クールダウン 170/150/130秒 ⇒ 160/140/120秒

イレリア
  • アイオニアの熱情(固有スキル)
    • スタックごとの攻撃速度 7.5-25%(最大30-100%) ⇒ 10-25%(最大40-100%)
    • バグ修正: スタック保持中にレベルが上がった時に攻撃速度がアップデートされるように

キンドレッド
  • 羊の執行猶予(R)
    • クールダウン 180/150/120秒 ⇒ 160/140/120秒

ニダリー
  • 槍投げ(ヒトQ)
    • 飛距離に応じたダメージ増加 100-300% ⇒ 100-325%

ラムス
  • 基本ステータス
    • レベルごとの体力 94 ⇒ 100
  • かたくなる(W)
    • 物理防御/魔法防御それぞれの増加 27 (+30-60%合計物理防御/合計魔法防御) ⇒ 27-47 (+30-60%物理防御/魔法防御)
    • (定数増加分も割合増加分によってスケールします)


チャンピオン 弱体化


ライズ
  • ルーンプリズン(W)
    • ダメージ 70-190 ⇒ 60-180
    • マナコスト 40-100 ⇒ 50-90

ツイステッド・フェイト
  • デスティニー(R)
    • クールダウン 160/130/100秒 ⇒ 170/140/110秒

ヴァイ
  • ケンカの作法(固有スキル)
    • シールド量 最大体力の14% ⇒ 最大体力の12%

ヨリック
  • 基本ステータス
    • 物理防御 39 ⇒ 36

画像訳ここまで


このパッチで修正されるバグに関する質疑応答

Q. 日曜にあったLTA North(旧LCS)の決勝で発生したバグについて。
先に3キル取ったFLYではなく、その直後に3キル取ったC9が戦いの偉業を獲得した。
おそらく原因はレナータ・グラスクのWのはずだが、どうにも上手く再現ができない。
(訳注:検証内容について中略)
みんなの知恵を借りたい。

サモナーズリフトチームのゲームデザイナー、RiotEndstep氏
A. 全ての調査と修正を今日完了しました、解説します。

通常の場合、LoLのエンジンは最後にダメージを与えたユニットを記録し続け、チャンピオンがデッドした際には最後にダメージを与えたユニットがキルに貢献したと処理します。レナータのWはこのシステムを覆す必要があります。なぜならWを受けたユニットはデッドまでの数秒間急速に体力が減少する時に自分自身にダメージを与えており、自身のデッドによるキルの権利をそのユニット自身が獲得しないようにする必要がありました。そのため、レナータWはそのバフを受けたユニットに「最後にダメージを与えたユニット」を記録するという単純なシステムを持ち、そのユニットが倒れた場合にはその「最後にダメージを与えたユニット」がキルに貢献したと処理するようにしています。極めて単純明快であり、このシステムはほぼ全てのケースで正常に機能しています。

今回の問題点は、レナータWのバフ中にチャンピオン以外からのダメージを受けた場合にその「キルの受け渡し(kill override)」をそのダメージ発生源から参照していました。ほとんどのケースの場合(例えばティバーズのオーラからのダメージ)、これは万全に機能します。ティバーズのオーラであればレナータWはそのキルはアニーによるものだと処理します。しかし一部ケースの場合では(例えばエリスの子蜘蛛、ナフィーリの子犬)、「キルの受け渡し」が正常に設定されておらず、レナータWは子蜘蛛や子犬がキルの権利を持つと処理してしていました。一般的な状況であればこれでも問題はありませんでした、なぜならゲームエンジンはそのデッドした対象を確認し、誰がゴールドを獲得するべきかを確認し、実際にはキルを子蜘蛛や子犬が獲得しているにも関わらず「ゴールドを受け取る対象」を正常に判断し、視覚的にはエリスやナフィーリがそのキルを獲得したものと処理します。システムには未知の問題を防止する冗長性があるためにこれはほとんどのケースで問題にならなりませんでした(この冗長性においては「キルの受け渡し」と「ゴールドを受け取る対象」の両方が間違ったものでない限り問題は発生しないようになっていました)。

しかし偉業のシステムにおいてこれは異常を発生させました。偉業にはチャンピオンが直接キルの権利を獲得している前提があったのです、間接的ではダメなようになっていました。偉業はエリスが300ゴールドを獲得した事実を意に介さずに、エリスが直接キルしたかどうかだけに対応していました。子蜘蛛がキルを獲得していたために、エリスは戦いの偉業にカウントされませんでした。ゲームエンジンはエリスが300ゴールドを受けとる対象であると認識していても、偉業システムは条件がすこし厳しかったのです。これはライブサーバーのゲーム中でも何度か発生したはずですが、どちらのチームが力の偉業を獲得するかにほとんどの場合で影響せず、力の偉業達成の瞬間までは表に出なかったために気づかれなかったのでしょう。さらには別々のチームに特定のチャンピオンの組み合わせ、レナータWとダメージのタイミングも正確に嵌まる必要がありました。これが決勝の舞台で発生してしまったことはとてもアンラッキーだったとしか言いようがありません。

これによって異なる二つの問題が発見され、私は暫定的な修正を25.13に組み込み、さらに以降のパッチでより確実な修正を行う予定です。
  1. 全てのペットのダメージがその発生時に「キルの受け渡し」を正常に設定される必要があります。おそらくはこれがあちらこちらで小規模なバグを発生させているのでしょう ― そこまで深くは調査していませんが、ペットがラストヒットを取った際にレナータWが「凱旋」の発動を妨げているケースや似たような事案があるのではないかと想像します。
  2. 偉業はチャンピオン自身がキルを獲得しなくともよい条件になるべきで、かつチームがキルを獲得したらそれがチャンピオンでなかったとしてもトリガーすべきです。
全体として、多数の複雑な相互作用を含む場合に冗長性を保たせることでどれほど問題発生を抑えられるかがわかる良い例でした(原文



Q. 『ゲームエンジンはエリスが300ゴールドを受けとる対象であると認識していても、偉業システムは条件がすこし厳しかったのです。』
なぜ条件が違うものになってしまったのですか? ゴールド/キルを獲得するシステムをそのまま流用すればよかったのでは?

RiotEndstep氏 いくつかの複合要因があります。メインの原因は偉業のオリジナルバージョンがチームよりももっとローカルな構造としてデザインされていたためです。これについて私が解説した動画がありますが、当初の偉業システムの構造は個人向けとチーム向けの偉業の両方があり、そして同じく個人向けとチーム向けの報酬が想定されていました。最終的に実装されたバージョンの偉業システムは完全にチームのためのシステムでした。これは理想としていた構造とは少し異なるものでしたが、私には実装までに偉業のスクリプトを完全に書き直してQA(品質保証、バグチェック)を通す時間は残されていなかったため、本来は個人向けだったキル記録システムをグローバル関数として呼び出すことで戦いの偉業(当初はファーストブラッド)に単純に使用しました。理想的ではなかったにしろ、ほとんどのケースで問題なく機能しました。

そして、この偉業システムはマップ-ドリブンのスクリプトではなく各チャンピオンにローカルに働くようデザインされたため、各チャンピオンのキルイベント発生を記録します。ゲームエンジンに偉業システムが存在するレイヤーの都合上、キルに貢献したのは誰かを見るシステムに直接アクセスしませんでした。なぜならこれは各チャンピオンの上で動いているもので、マップ上でグローバルに動くものではなかったからです。

将来的には、個人向け偉業も個人向け報酬もない現在の偉業デザインにおいては現バージョンに利点がないため、各チャンピオン上でのローカルなバフの組み合わせではなくサモナーズリフトそのものに維持されるグローバルシステム上へ、少なくとも部分的にでも移設するつもりです。(原文



Q. つまり当初の偉業のデザインにおいては必要だったシステム上の構造を、それを変更するよりも時間内に仕上げることを優先して流用するという正当な理由のために妥協策を取ったのですよね。私もビジネスソフトウェアの分野にいるのでわかります。

RiotEndstep氏 当初このシステムは各チャンピオンごとの異なる要素を楽に追跡できるように各チャンピオン上のバフとして保持されていました。例えば、デッドせずに5キル獲得、100CS達成、エピックモンスターの獲得といった内容が偉業とされたバージョンではグローバル視点でそれを管理するよりも個々のチャンピオンで管理した方が多くの点で合理的でした。これら全てをグローバルスクリプトで管理することは可能でしたでしょうが、それはひどく複雑になり、当然のことながら全ての状況が巨大化したロジックを動かすことになるためパフォーマンスも悪化します(例えばミニオンが倒れた時にチャンピオンがキルしたか、どのチャンピオンがキルしたかを判断し、合計値に加算し、それが何かのラインを突破した場合にはロジックは走らせる必要があります ― これに対してローカルなバージョンではチャンピオンがミニオンをキルした時だけロジックを走らせ、それはそのチャンピオンのみで済むため自身の合計値だけをチェックするだけでいいのです)

結局、私に取ってはグローバルシステムへの偉業システムの付け替えは大して難しくありません。より大きな遅滞になるのは問題が出ないようにするためのQAなのです。LoLには多くのエッジケースと複雑な相互作用が存在します、そのため圧倒的多数のケースで機能する既知のシステムをそのまま維持するほうが、最終的にデザイン構造的に理にかなったシステムへの移行することよりも優先されました。今はもう実際に問題が存在することを私たちが認識したため、システム移行に時間をかける理由になります。(原文


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