2017年12月14日木曜日

乱数を用いるゲームデザインとLoLに存在するランダム性


コアゲームプレイリードデザイナーを務めるMeddler氏が、LoLにおけるランダム性について公式ボードに投稿した部分の訳になります。

原文
Quick Gameplay Thoughts: December 13


乱数 - 入力のランダム性 vs 出力のランダム性

最近乱数についての話をよく見かけますが、ゾーイやねこばばのリリースから来るものなのでしょう。ちょうどいいので、これについて私たちの考えを少し踏み込んでお話ししたいと思います。乱数という言葉に馴染みがない方に説明しておくと、乱数とは簡単にいえば「ランダム性」を作るために使われるランダムな数字生成や、その生成機構を指します。

お話を始める前に、きちんと機能するのであれば、乱数は競技ゲームにおいて存在していいものだと私たちは信じています。LoLのようなゲームにとって、ランダム性がうまく適合する形もありますし、適合しないものもあります。乱数を適切に使うことで、プレイヤーは適応力を示すことができますし、ゲーム内の既存の要素に別種の技量テスト(ハンドスキルやチームメイトとの協調など)を付け加えることもできます。素早く考える能力を試す予測不能な状況が生じることで、普段は見られない行動が可能になり、とても楽しくなる可能性を秘めています。他方、乱数がうまく機能しないのであれば、プレイヤーの技量が正しく発露することなく、勝敗を不公平に決める要因になってしまいかねません。

競技的に適切な乱数に共通する特徴のひとつとして、そのランダム性が意志決定に対する入力になるのか、出力になるのかという点があると感じています。入力とは皆さんの意志決定に関わるもので、初期状況はさまざまですが、プレイヤーの行動へとつながるものです。エレメンタルドラゴンはこのような乱数の例で、ドラゴンの種類はランダムに決定されますが、それぞれのチームがどう対応したいかは彼ら次第です。入力ははうまく伝達されると良いものになるので、プレイヤーはそれをもとに意志決定ができ、両チームにとって公平になるはずです。まずどういう状況が作られるのかではなく、状況にどのように対応するかがゲームの結果を決めるということを保証しながら、ランダム性の恩恵を取り入れられるようにできるのです。他ゲームでの例としては、Starcraftにおけるスタート地点のランダム性や、Civilizationにおけるマップ生成などが挙げられます。

乱数そのものと対照的ですが、出力のランダム性がその後に行われた意志決定よりも状況の結果を決めることは、よくあります。例として、50%の確率で対象を破壊しますが、50%の確率で大きなダメージを受けるとしましょう。もちろん、ランダム性による出力でリスクを負う可能性は確実にあります(たとえば悪い結果になるリスクを受け入れられる時だけ危険な状況に飛び込もうとするとか、ランダムで起こったものに対応してプレイを調整するとか)。一般的にはですが、出力のランダム性には運がとても大きく影響します。問題になっているランダム性がとても多い頻度で起こり、結果がほぼ均等に(例で言うと100回行えば結果が50/50になる)なるのであれば、大丈夫かもしれません。たまにしか起こらないのであれば、経験として運が大きく影響すると思うようになります。

LoLでは全般的に、出力のランダム性を引き起こすものは避けたり削除したりしてきましたし、競技LoLに追加される新要素としては今後もないでしょう。とはいえクリティカルは大きな例外です。クリティカルはいくつかの軽減要素で、非常に予測がたやすい状況に対してリスクや不確実性を加えており、高クリティカル確率時の影響は、少なくともタンキーなチャンピオンと相対した時に均一化されています。否定的な経験になることも多いのですが、特にレーンではクリティカル確率がまだ低いため、戦う頻度を増やそうとすれば結果は運頼りになっていきます。いつかクリティカルについて取り組み、「やれることは全部やったのに負けた」という後味を減らしつつも恩恵を維持できるシステムに変えたいと思っています。良い変更になると思いますがいつになるかはわかりませんし、アイテムのオーバーホールやルーンの改良、チャンピオンの小規模アップデートなどと競合する大規模プロジェクトになってしまうでしょう。

ランダム性の話に戻ると、いくつかの状況は同時にランダムな入力と出力が混在しているといえます。とりわけ良い例はPUBGです。飛行機からランダムな場所に投下される支援物資はすぐにプレイヤーに伝わり、奪い合いが起こるようにできています。ポーカーももうひとつの良い例で、手札に加えたものとゲームへのアプローチ方法の両方が、ゲーム進行に莫大な影響を与えます。両方の例で、ランダム性の高さがゲームの一部として許容されているだけでなく大きな目玉となっており、技量と運の混合はとても理に適っています。


LoLにおける乱数

それでは、私たちが乱数についておおむねどのように考えているか、LoLにおける特定のケースについてもっとお話ししていきましょう。

エレメンタルドラゴン - 両チームにしっかり伝達され、均等に獲得チャンスがあります。得られるボーナスによってプレイやチームの長所が変わったりしますが、どんなチームであっても役立たずにはならないはずですし、どれかひとつのせいで明らかに強いチームになったとしても(たとえばクラウドとスプリットプッシュや、オーシャンとポークの組み合わせ)相手取ることができるようになっているはずです。相性の良いドラゴンが序盤に出現すると、チームは序盤から強みを得られることもあります。インファーナルドレイクを3回獲得したチームに勝たなければならないような試合も繰り返し見てきていますが、行き過ぎた結果には適切な説明が可能だとも感じています。

クリティカル - 戦闘に価値ある予測不能性をいくらか加えていますが、全体的にはプレイヤーの反応よりも運次第で大きすぎる影響を発揮しています。これについては前述の内容でいくつかのことをお話ししました。

プラント - プラントの出現パターンにはいくらかランダム性がありますが、非常に限られた範囲になっています(出現地点が非常に限定的で、出現タイミングも限定的)。いくつかの予測不能なプレイを生み出すランダム性は十分あり、ドラゴンのような戦略面が強いものよりも、より戦術面に寄った適応力を試すものになっています。プラントがある可能性をあらかじめ知ることができ、その効果もわかり、使うとどうなるかもわかるのです。プラントを嫌うプレイヤーもおり、ブラストコーンが特に嫌われています。しかしアンケートデータなどの私たちが見てきたものからは、プラントは全体的に好まれているので、ゲームにとって良い存在であるとも私たちは考えています。

ねこばば - ランダムに得られるアイテムやゴールドは、新しく獲得したもので何をするべきなのかという連続した意志決定と、たくさんのエキサイティングな瞬間をもたらしてくれます。ランダム性の行き過ぎた影響は、大きなサンプル数によってコントロールされており(試合が長引けば獲得できるアイテム数が増える)、ある時点で獲得可能性があるアイテムはそれまでに獲得したものと、それを獲得してからどれだけの試合時間が経ったか(序盤はスキルエリクサーが出ないのがひとつの例です)にもとづいて決まっています。ゴールド袋のランダム性もまた、プレイヤーが選択できるランダム報酬によっていくらか軽減されています。ねこばばを選べば他のキーストーンが取れなくなり、特に序盤にパワースパイクを持ってくることになるため、相手からすれば対応しやすくなっています(直接のダメージ交換に役立つ戦闘的なキーストーンがないということ)。

ゾーイ - ランダム性ははっきり伝わるようになっており、ミニオンにはマークがついてゾーイが獲得できる能力も表示されているので、ゾーイがそれを拾うまでには少し猶予があるようになっています。ゾーイが拾ったものはなんであれ使われるという点にもとづく影響であり、何かが落ちる瞬間が影響するのではありません(例外:ゾーイが拾ったものをすぐに使ってそれが戦闘に直ちに影響した場合)。アイテムやドロップ率は適切なのか、ドロップ場所が正しいのかといった点はまだ見極められていませんが。これらは社内での議題になっており、特にガンブレードとテレポートについて話し合われています。非常に興味深く創造的なものを生み出すこともありますが、ローム前ですら、序盤のレーニングで落ちるものによって大きな影響があると感じられることもあります。

バード - チャイムの位置はかなりランダム性が高いのですが、舞台裏ではそれでもかなり窮屈になっています。チャイムはバードから遠すぎる場所には出現せず(特に試合序盤は)、敵タワーの直下のようなひどい場所にも出現しません。チャイムは「これが取れるかな」よりも「これを取るのはいつ」という疑問を抱くのに十分な距離の範囲に出現します。出現タイミングも、出現した時間と各試合で取得できる数の両方の点で、厳密にコントロールされています。総合的にチャイムは、バードのロームに対して柔軟性と、ほんのちょっとの予測不能性を与えることに成功していて、バードの全体的な影響力を運に寄せすぎることなく、ロームをより面白い体験にしているのです。

関連したトピックについてさらに知りたい向きは、昨年公開したDev Diaryのランダム性についての動画を見ていただければと思います。